消防出初め式で5色放水を披露する消防団員ら(2018年)

 消防団員の報酬を巡って総務省消防庁が自治体に団員個人への直接支給を求めていることに関し、佐賀県内で全団員に直接支払っているのは、伊万里市と三養基郡上峰町にとどまることが佐賀新聞社の調査で分かった。他の18市町は団(分団、部を含む)に支給したり、団を経由して個人に支給したりしている。消防庁は「直接支給しないのは透明性の観点から適切ではない」とし、本年度中の見直しを求めている。

 消防庁は消防団員の減少に歯止めを掛けるため、団員の待遇改善に取り組んでいる。4月には自治体に報酬の在り方に関する通知を出し、報酬の引き上げや直接支給の徹底を促した。

 佐賀新聞が4月22、23の両日、市町の担当者に聞き取ったところ、報酬を全団員に直接支給しているのは伊万里市、上峰町の2市町だけだった。鹿島市、嬉野市、杵島郡白石町の3市町は一部の幹部だけ直接支給していた。消火活動や訓練などへの出動手当については、伊万里市だけが全団員に直接支払っていた。

 一般団員の報酬を直接支給していない18市町のうち、団に支給し、使い方は団の裁量に任せているのは10市町だった。残り8市町は団を経由して個人に支給しているが、5市町は本人の受け取りを確認していなかった。

 直接支給しない理由として、ほとんどの市町が事務が煩雑になる点を挙げた。担当者は「千人規模の口座を管理することになる。毎年交代があるため、変更手続きも必要になる」「出動手当については一人一人の出動状況を把握するのが難しい」などと説明する。

 「慣例」や「団の要望」を理由にする市町も多かった。「個人に直接支給しても団が運営費を徴収することになり、二度手間になる」とする自治体もあった。

 消防庁は全国の消防団の状況として、本来は個人に支払われるべき報酬や手当が組織で管理され、一部で不透明な使われ方をしていると問題視している。県内の一部の消防団員からは「報酬は団員に支払われず、懇親会という名目で飲食や旅行に使われている」と不満の声も上がる。

 消防団は非常勤特別職の地方公務員で、消火活動だけでなく、災害時には地域住民を守る役割がある。ただ、自治体はこれまで、報酬や団の運営費に十分な支出をしてこなかったとされる。少子高齢化やサラリーマン世帯の増加で団員の確保が年々難しくなり、昨年12月に設置された消防庁の有識者会議の会合では「団員の労苦に報いる報酬の在り方にすべき」との意見が多く出た。

 消防庁は必要な条例改正と予算措置を2022年3月末までに実施するよう求めており、県内の市町の多くが団との協議に入っている。ある町の担当者は「財源の確保など調整事項が多く、長く続いた慣習を改めるのは容易ではないが、近隣の市町とも相談しながら作業を進めたい」と話している。(青木宏文)

■関連記事

<こちさが>”地域の要”悩み多く ある消防団員の告白「収支報告ない」「負担大きい」

このエントリーをはてなブックマークに追加