九州唯一の地方競馬を行う佐賀競馬(鳥栖市)が近年、インターネットによる馬券販売が伸びて収支が好転している。2020年度は前年度から約8億8千万円増となる約14億円の黒字となり、インターネットによる売り上げを増やすナイター競馬の開催など時代に合った取り組みが成果を上げている。その一方で、収益を県と鳥栖市に配分する割合は半世紀変わっておらず「鳥栖市に少な過ぎる」と疑問の声も出ている。公営競馬は地方財政への貢献も目的とされており、収益配分も含めて時代に合う形を協議してほしい。

 3月に開かれた県競馬組合議会(管理者・小林万里子副知事)によると、20年度(2月末時点まで)は地方競馬の1日当たりの売り上げが前年比129%なのに対し、佐賀競馬は平均を上回る157%の伸びだった。新型コロナで在宅時のインターネット購入が増え、ナイター競馬やイブニング競馬も効果を上げた。21年度はナイター競馬を31日から51日に増やし、スポーツ紙への馬柱広告を増やして全国の競馬ファンの注目度を上げる。これらは、好機を生かす「攻め」の取り組みと言え、さらなる売り上げ増に期待したい。

 佐賀競馬は公営ギャンブル離れや長い不況による経営環境の悪化で1998年度から2015年度まで18年間、構成団体の県と鳥栖市に収益の配分を行わなかった。近年は配分が復活し、20年度は14億円の黒字のうち13億円を厩舎改築工事の基金に積み立て、残る1億円を県に8200万円、鳥栖市に1800万円配分する。

 ただ、20年度の配分に対し、鳥栖市を地元とする組合議員からは疑問の声が出た。国道34号沿いの佐賀競馬場は、鳥栖市にとっては“一等地”で、「固定資産税だけでも1億円近く見込める」と試算。14億円も黒字なのに鳥栖市の配分が1800万円では「地元に説明がつかない」として「固定資産税に見合う額くらいは配分を考えてほしい」と要望した。

 配分割合は、規約で県と鳥栖市が82対18になっている。そもそもその理由について、組合事務局は「随分古い話なので、正確なことは見いだせなかった」と説明。鳥栖市移転前の1968年、県と佐賀市の旧競馬組合が決めた規約が下地ではないかと推測した。規約変更は組合議会で扱える事項ではなく、構成団体が協議のうえ、双方の議決や総務大臣の許可が要るという。小林管理者は「当面このままで」との意向を示したが、ある組合議員は「この話は鳥栖市に分があるようだ」として協議の場を設けることを要望した。

 佐賀競馬は老朽化した厩舎と宿舎約40棟の順次建て替えを計画し、総事業費は約100億円とされる。建て替えの基金を積み立てたい考えと察するが、組合議会では今後の計画や日程が明示されないまま黒字が基金に回されてきた。将来の採算は予測できないため、計画が示しにくい事情もあろうが、基金に回す額も含めてもっと丁寧な説明が必要ではないか。

 22年度には、佐賀競馬場が佐賀市から鳥栖市へ移転して50年を迎える。構成団体が時代に合った運営内容を話し合うには絶好の節目だろう。厩舎も建て替わり、佐賀競馬が新たな時代を迎えようとする中、構成団体が納得のいく形での運営を望みたい。(樋渡光憲)

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