新型コロナウイルス特措法に基づく3度目の緊急事態宣言が東京などに出される中、ゴールデンウイーク(GW)が29日からスタートする。佐賀県は宣言の対象地域ではないものの、新規感染者の確認が続き、感染防止を意識した行動が求められている。生活の中のさまざまな我慢に疲れてしまい、気持ちに緩みが生じていないか、自分自身に問いかけてほしい。

 「県外との不要不急の往来、県外での会食を自粛してほしい」-。26日に開かれた県の新型コロナ対策本部会議。山口祥義知事は県内の感染状況がステージ2(漸増=ぜんぞう)にあるとの認識を示しつつ、県民に理解と協力を呼び掛けた。

 東京、大阪などの大都市と違い、県内は感染のつながりを追うことができているが、状況は厳しさを増している。1日当たりの新規感染者数は20日に過去最多となる38人を確認。その後も10~30人台で推移している。感染力が強い変異株が中心になってきたことも分かっている。

 県内で初めて新型コロナの感染者が確認されたのは昨年3月だった。感染の波が繰り返し高まり、外出や旅行、懇談の機会などの制限が長期化する中、多くの識者が問題点とみているのは、危機意識が薄れてしまっていることだ。

 昨年のGW期間中は全国と同じように県内にも緊急事態宣言が出された。感染が広がり始めて間もない時期で、“見えない敵”への恐れは強かった。飲食店に加えてパチンコ店などの遊興施設、道の駅なども休業要請を受け入れ、県民は外出を自粛した。そのかいあって感染者数は減少し、GW後に宣言は解除された。「いま我慢すれば収束する」との思いも背中を押した。ところが、1年以上たってもまだ収束の兆しは見えない。

 マスクやアルコール消毒などの新しい生活様式が定着。「ウィズコロナ」の言葉通り、感染症とうまく付き合っていかねばならないことは分かっているが、その一方で、緊張感を保てなくなっている部分があることも事実だろう。

 感染の波の高まりは、人出の増加に少し遅れてくることも明らかになっている。いま「第4波」が及んでいるのは、感染力の強い変異株の広がりに加え、3月から年度初めの歓送迎会や花見などで、人の動きや接触があったことに起因していると考えられる。変異株は重症化リスクも高く、これまで少なかった40代の重症化なども報告されている。

 感染防止の「切り札」とされるワクチン接種は始まっているが、最初の医療従事者向けもまだ道半ばで、高齢者向けは始まったばかりである。外国に比べて大きく出遅れてしまった政治責任などの検証も必要だが、いまは接種事業がスピードアップされ、円滑に進むことを願うばかりである。

 世界有数の速さでワクチン接種が進んでいるイスラエルで、屋外でのマスク着用義務が4月中旬に撤廃され、子どもたちがマスクをはずして笑顔を見せる姿が海外ニュースで映し出されたが、とてもうらやましかった。

 日本はいままさに正念場である。感染を抑え込みながらワクチン接種を早急に進め、経済も回していかなければならない。心を一つにし、今回のGWが感染収束に向けた分岐点になると信じたい。(杉原孝幸)

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