えびすFMの開局当初から続く番組「エイブルオンラジオ」。障害があり車いすを使う当事者が日々感じることを発信している=佐賀市白山

 佐賀市のコミュニティーFM「えびすFM」が5月1日、開局10年目を迎える。災害時には市民ボランティアも加わって地域の状況などをリアルタイムで伝える役割を果たしてきた。障害者や不登校といった修学に困難を抱える生徒らによる企画番組も立ち上げるなど「当事者の声」も大切にしている。

 コミュニティーFMは市町村単位の小規模なFMラジオで、えびすFMは旧佐賀市が中心。同市出身で北九州市のケーブルテレビ局に勤めた池田眞由美さん(60)が帰郷し始めた。

 スタート当初は1日14時間の生放送で「運営するだけで精一杯」(池田代表)の時期もあったが、現在は朝から夕方にかけての自主番組、夕方以降の市民企画番組を中心に構成する。

 2012年7月の北部九州豪雨や19年8月の佐賀豪雨では、市民ボランティアやクライアントが電話出演して各現場の被害状況や交通情報などを伝えた。SNS(会員制交流サイト)も活用しながら速報し、「なぜ渋滞していたのかが分かって助かった」との声も届いた。

 「当事者の声を伝える番組」を育ててきたのも特徴。車いすユーザーの障害者が発信する番組は、局と同じ10年目を迎える。26日夜、大型連休の過ごし方を柱に番組進行した内田勝也さん(31)は「自分の言葉で伝えられるのが魅力。日常生活の気づきが共感を生み、暮らしやすい社会につながれば」と語る。

 5年目となった佐賀星生学園(佐賀市)の番組では行事の様子を中心に伝え、これまで生徒計72人が出演してきた。石川和志さん(17)は「学園をよく知らない人にも伝わるよう、丁寧に説明することを心掛けている。学園の楽しい雰囲気が伝われば」と話す。

 運営費の確保や後継者育成など課題もあるが、人工知能(AI)アナウンサーの導入など新しい取り組みを欠かさない。池田代表は「コロナ禍もあり、あらためてラジオの仕事は人をつなぐことだと実感している。ラジオでできることを考え続けたい」と話す。(川﨑久美子)

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 えびすFMは開局10年記念として1日午後1時から公開生全国放送する。岡野美和子さんがパーソナリティを務め、午後3時55分まで。えびすバーガー(限定30個、500円)やコーヒー(350円)の販売のほか、子ども限定でバルーンアートの配布もある。

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