4、5月の予約帳を見つめる大和屋の山口勝也専務。大型連休中は県内からの宿泊客で埋まっているが、平日は例年の約50%という=佐賀市富士町

 新型コロナウイルスが感染拡大する中、始まった今年の大型連休。佐賀県内の旅館やホテルでは、県外からの予約キャンセルが相次いでいる一方、県内を中心とした新たな予約が入っている。県が実施している県民を対象にした県内旅行割引キャンペーンの効果が一部でみられ、「おかげで何とか持ちこたえている」との声も聞かれる。一方で県外客の割合が多い宿泊施設の関係者は「効果は限定的」と厳しい見方を示す。

 佐賀市富士町の旅館「大和屋」は、5月2~4日は満室となった。緊急事態宣言期間中で休業を余儀なくされた昨年とは状況が一変した。今回、東京都などに緊急事態宣言が出された直後、予約のキャンセルが相次いだが、一方で予約帳には県内からの客の名前が書き加えられていった。

 感染状況に呼応する格好で予約も変動しており、山口勝也専務(57)は「不安はあるが、昨年に比べれば働けているのがありがたい」と感謝する。

 県観光連盟が15日から始めた県民対象の県内旅行割引キャンペーンは、宿泊料金が1人当たり最大5千円割引になり、最大で2千円の地域限定クーポンも交付する。県観光課は「それなりに予約が入っていると聞いており、一定の効果はあるのでは」とみる。

 県のキャンペーンに合わせたバスツアー商品も出てきている。祐徳自動車(鹿島市)は県在住者を対象に、呼子や太良などを巡る日帰りと1泊2日のツアーを5月1日から催行する。担当者は「(関係業者が)少しでも元気になれるよう動かしていければ」と話す。

 一方で福岡県などからの宿泊客の割合が多い宿泊施設は少なくなく、ある経営者からは「何もないよりかは助かるが、(キャンペーン関連は)4、5件と多くはない」との声も漏れる。

 嬉野温泉旅館組合の理事長で旅館「御宿 高砂」の池田榮一社長(72)は「連休の前半はある程度順調だが終盤はぱったり。状況は厳しい」と話す。武雄市の老舗旅館では連休期間中の客室の埋まり具合は4割程度。5月2、3日は満室になっていた時期もあったが「有田陶器市の中止でキャンセルが相次いだ」という。感染リスクを減らすために客室を減らして受け入れる宿泊施設もあり、「例年の半分ほどの稼働率」(唐津市の旅館経営者)というところも。

 大和屋の山口専務は「今は充電期間と考えて、できることをしながら頑張っていきたい」と前を向く。(中島佑子、小野靖久)

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