選挙は当選を目指して戦うとはいえ、各党には情勢からみた現実的な目算がある。菅政権発足後、初の国政選挙となった衆参3選挙で自民が描いたのは「1勝1敗1不戦敗」だったろう◆元農相の収賄事件に伴う衆院北海道2区は、候補擁立を見送って不戦敗。新型コロナ感染で亡くなった立民現職の「弔い合戦」となった参院長野は、当初から自民劣勢が伝わっていた。残るは参院広島。自民は是が非でも議席を守りたいところだったが、目算は狂って「3戦全敗」を喫した◆広島県は自民の伝統派閥・宏池会(岸田派)の牙城。宏池会を創設した池田勇人元首相の出身地で、現在も広島選出の岸田文雄前政調会長が率いる。自民はその厚い支持層に望みをつないだが、「政治とカネ」の問題を前に伝統の威光も消し飛んだ◆政治の大切な要件は説明力といわれる。国民に不人気でも実行すべき政策もあれば、難しい選択を迫られる場合もある。そうした時に説明する力量が求められるが、選挙で現金を配っては説明のしようがない◆秋には自民総裁選、衆院任期満了を控えている。政権浮揚の鍵を握るのは新型コロナ対策だろうが、国民が待望するワクチン接種は大幅に遅れている。感染者の増加と支持率の低下。どちらも歯止めが掛かるかどうかは、ワクチン次第のような気がする。(知)

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