新型コロナワクチンの集団接種会場で接種を受ける男性=25日朝、基山町のきやま鹿毛医院(撮影・鶴澤弘樹)

新型コロナワクチンの接種が終わり、15分から30分間待機した接種者=25日午前、基山町のきやま鹿毛医院

 新型コロナウイルス感染収束の期待が掛かるワクチン接種。佐賀県内の多くの市町で高齢者施設での接種を進める中、三養基郡基山町で65歳以上の町民を対象にした集団接種が始まった。初日は280人が接種を受け、大きな混乱はなかった。集団接種の一日を追った。(石黒孝)

 午前8時20分。一番乗りの夫婦が、会場のきやま鹿毛医院に到着した。「関東にいる孫たちにずっと会っていない。ワクチンを打って胸を張って会えるようになりたい」と夫(69)。町役場からの案内の封書が届いた直後に予約の電話をしたという。

 午前9時。問診を終えた人から3人ずつ接種室へ。フェイスシールドを着けた看護師が手際よく肩に注射した。接種を終え、待機スペースに入った夫は「痛みを感じる間もなかった。これからもマスクや手洗いは欠かせないが、2回目の接種を終えたら孫に会いに行きたい」と晴れ晴れとした笑顔を見せた。

 会場入り口で町職員が「接種券と身分証明書の準備を」と一人一人に声を掛ける。院内に入ると最初に手指消毒と体温測定。受付で接種券や予約のチェックを行った後、各自が持参した予診票を調べた。エレベーターで2階に進むと、医師の問診。当日の体調やアレルギーの有無を問いかけ、持病がある人にはかかりつけ医が了承したかを尋ねた。医師の許可が出たら接種室へ。終了後は待機スペースで15分から30分、体調の変化を見極めた。

 基山町は集団接種とかかりつけ医などで受ける個別接種の2本立て。町内の65歳以上の対象者は約5700人で、町では集団と個別接種は「半々」と見込む。高齢者だけの世帯など交通手段がない人もいるため、町はマイクロバスを準備し、2ルート計24本を運行した。

 10時半の回に予約した男性(67)は、マイクロバスで10時20分過ぎに到着した。「ワクチンが本当に届いているのかと半信半疑だった。待たされることもなく終わって良かった」とほっとした表情。会場に入ってから待機室を出るまでに要した時間は23分ほど。町が3月に行った事前シミュレーションでは、15分の待機時間を含め一人22分を想定しており、ほぼ予定通りだった。担当者は「予診票の書き漏らしなどで時間をとられることもありえると思っていた。きちんと準備されていた」と話す。

 町は8日から予約を受け付けた。コールセンターに電話が殺到し、つながりにくい時間帯もあった。2回目の接種については、3週間後の同じ時刻に予約してあることを説明。都合が悪い人には後日、町から連絡し、日時を調整する。

 会場が密集状態になることを避けるため、予約は9時から30分ごとに、25~30人ずつ受け付けた。待機場所も12人ずつ入る部屋を4つ準備し、順番に使った。待ち時間や待機で座ったソファーやいすは、こまめに消毒した。アナフィラキシーなどの副反応に備え、ストレッチャーやベッドを準備した部屋も設けたが、体調の変化を訴える人はいなかった。病院施設を利用したため、ほぼ段差がなく、通路の幅もあり、車いすの人も余裕を持って通れた。

 午後3時50分過ぎ、この日最後の接種者が待機を終え会場を後にした。最後まで見届けた町新型コロナワクチン接種推進室の中牟田文明室長は「町民や医療機関の協力でスムーズに終わることができた」と一日を振り返り「各担当で反省点や改良点を出し合い、次回につなげたい」と語った。

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