新型コロナウイルス(COVID―19)感染症の影響により、多くの人々に仕事や家庭における過度の不安や緊張が生じました。疲労には、ストレスによる張りつめた不安緊張による自律神経系の疲労と、運動による筋肉系の疲労があります。なぜストレスが生じているかといえば、感染者数の推移が水平線であれば安心ですが、ピークがある山なりの曲線となっているため、第1波、2波、3波、4波(?)を引き起こし、莫大な感染者の増加が予測され、社会が混乱状態に陥る可能性があるためです。また、情報過多による「ああしてはならない。こうしてもならない」などの世間の縛りを受け続けていると、長期の不安緊張が抑うつに発展したり、判断にミステイクがみられる状態(過度のストレスによる認知の歪みなど)に及ぶこともあります。先日、厚労省の役人の方々が深夜遅くまで、飲食を続けていたというニュースが報道されましたが、世間の人に指示を出している立場から、批判を浴び、処分されました。限界だったと察します。

 話題は転じますが、江戸時代(1603~1868年、265年間)の資料によれば、庶民は1日3万歩、1日5合(男性)の玄米を食べていたと記載されています。現代人は、1日5000歩前後、1日1合程度のご飯しか食べていません。江戸時代の疲労は、運動による筋肉系疲労、現代人はストレスによる自律神経系疲労といえるかもしれません。特に最近では、いつもマスクをして人の群がりを避け、人との食事や会話を控える習慣がどれだけ人間にとってストレスになっているかを考えると、本当に生きづらい世の中になりました。

 人間の免疫力が時代の変化とともにどのように変化しているのかわかりませんが、現在人はCOVID―19に対する免疫力を有していない方が圧倒的に多いのが現実です。江戸時代を過ごした方がもっと免疫力が高かったことも予想されます。新たな変異種の出現、それによる新たな不安と緊張。いつ終息するのか先が見えない不安と日々闘っているのが現状です。(九州大学キャンパスライフ・健康支援センター教授 佐藤 武)

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