嬉野市の養護老人ホームで入所者の胃ろうカテーテルを引き抜き、けがをさせたとして傷害の罪に問われ、無罪が確定した30代の女性職員が、犯人と決めつけられて精神的苦痛を受け体調を崩したとして、施設側に約1230万円の損害賠償などを求めた訴訟で、佐賀地裁は23日、施設側の対応に問題はなかったとして、逮捕後の賠償や慰謝料請求を棄却し、自宅待機期間中の未払い賃金に当たる約55万円だけの支払いを命じた。

 達野ゆき裁判長は判決で、施設側が女性を疑ったことについて「ビデオ映像で確認されていることなどから、故意に引き抜いた疑いがあると認識したことは不合理ではない」と述べた。施設が女性に自宅待機を命じたことや、嬉野市と鹿島署に通報・相談したことも過失はないとした。

 一方、女性が支払うべき保険料を立て替えたとし、施設側が女性に約127万円の支払いを求めた訴えについては全額を認めた。

 訴状などによると、2014年11~12月、当時90代の男性入所者のカテーテルが計14回抜けた。施設側は15年2月、女性に出勤停止と自宅待機を命じ、同年3月に鹿島署に通報。同年5月、女性は傷害の疑いで逮捕されたが、佐賀地裁は無罪判決を言い渡した。

 女性側は、施設が調査を尽くさずに犯人だと決めつけたと指摘し、肉体的・精神的苦痛を受け「うつ状態になった」として、損害賠償や慰謝料などを求めていた。施設側は、女性の代わりに立て替えた保険料の支払いを請求していた。

 女性は代理人弁護士を通じ「到底受け入れることができない」とコメントし、控訴する意向を示した。

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