新型コロナウイルス感染が再拡大した大阪府は3度目の緊急事態宣言発令を政府に要請した。宣言に準じた「まん延防止等重点措置」が2週間適用されたが、拡大の歯止めにはならなかった。政府は東京都、兵庫県などと併せ発令する方針だ。

 まん延防止措置は、機動的に適用し宣言発令に至る前に拡大を抑える狙いで導入された。しかし、適用された計10都府県で目に見えて減少に転じた所はまだない。かえって、これを適用したことで宣言発令の判断が遅くなった弊害さえ疑われる。3度目の宣言発令という事態になった以上、政府、自治体は人流抑制と病床確保を早急に実現しなければならない。

 同時に、まん延防止措置が本来の趣旨通り素早く急所を突く運用ができたか否か、効果を検証する必要がある。結局、緊急事態宣言の前に新たなハードルができただけなら、強い対策は二段構えより宣言一本に絞る方がむしろ適切だ。

 大阪は今月5日のまん延防止措置適用後も新規感染者数が減らず、2週間後の18日は日曜にもかかわらずその時点で過去最多の1219人になった。これを受け吉村洋文知事は「重点措置では効果は不十分だ」として宣言発令要請を決断した。

 府が確保した重症病床では足りず、軽症・中等症向けの医療機関で治療を受ける重症者が60人に達した。滋賀県に患者受け入れや看護師派遣を求めるなど既に「医療崩壊」と言うべき状況だ。宣言発令はもっと早く要請すべきではなかったか。

 歓送迎会などイベントが多い季節で若者の人流がさほど減らず、大阪の新規感染者は30代以下の若者が約半数を占める。加えて感染力、重症化率が高い変異ウイルスが大阪、兵庫で約8割になり、突出したリバウンドを招いた。東京も変異株が約半数であり、関西同様の状況になりかねない。

 さらに言えば大阪は「だらだらとやるべきではない」(吉村知事)と2度目の緊急事態宣言を期限より1週間早く2月末までで先行解除した。これが自粛疲れの府民に安心、緩みを与えたことは否定できない。続くまん延防止措置も行動を自制させるメッセージ性が緊急事態宣言に比べ弱かったと言わざるを得ない。

 大阪は宣言解除後も飲食店への時短営業要請を続けたが、最近では変異株の感染経路は多様化し、飲食店だけでなく学校、職場でも感染者集団が発生している。変異株への対応を甘く見たと批判されても仕方あるまい。

 2度目の宣言は飲食店の時短営業が対策の中心だった。大阪府は今度は飲食店のほか百貨店、テーマパークなどへの休業要請に踏み切る考えだ。大阪市は市立小中学校の授業を原則オンラインにするという。経済活動との両立に固執し再拡大を招いた反省に立つ強い対応なのだろう。だが方針転換するなら、従来施策の「失敗の本質」を総括し、説明責任を果たすプロセスを踏むべきだ。

 菅義偉首相は2度目の宣言の全面解除を決めた際の記者会見で「再び宣言を出すことがないよう対策するのが私の責務だ」と述べている。3度目の発令に至った責任は知事以上に首相にあることは当然だ。

 全対象者に供給できるだけのワクチンの確保は早くて9月になる。東京五輪開催までは3カ月。大型連休は最後の踏ん張りどころだ。

(共同通信・古口健二)

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