からつ塾16年間の活動をまとめた本を発刊した運営委員会の森川律子代表(前列中央)と大部分の執筆を担った大嶋仁さん(前列左)=唐津市の喫茶店「檸檬樹」(提供)

出版された「からつ塾」の表紙

 大学がない唐津市で多彩な学びの場を提供する民間塾「からつ塾」(森川律子代表)は、これまで16年間の活動内容と講義概要をまとめた本を発行した。江戸時代にあった唐津の私塾(郷塾)がモデルの現代版として「知性の錬磨」に努めてきた軌跡となっている。コロナ禍で対面講義は休止状態となっており、「今後の学びの機会を模索する手掛かりに」としている。

 からつ塾は2004年、元市近代図書館長の碇宏八郎さんや福岡大教授だった大嶋仁さん、松浦史談会会長の山田洋さんらが発起人となって開講した。歴史や自然科学、日中韓関係、生命倫理学など幅広いテーマの講義を提供し、今年2月のオンライン講義を含め144回に上る。ノーベル物理学賞の益川敏英さん、ゴリラ生態研究第一人者で前京都大学長の山極寿一さんをはじめ全国から講師を迎え、受講者との交流の機会もつくってきた。

 本の題名は「からつ塾-わたしたちの町でより高い知を求めて十六年-」、2部構成で296ページ。第1部は江戸時代に見借(みるかし)村の庄屋・宗田運平が開いて「生きた学問」の場となっていた郷塾「愛日亭」をはじめとする唐津藩にあった民間塾の系譜を示した。その上で、からつ塾誕生と運営に携わる委員や支え協力した人たちの声で16年の歩みを振り返っている。第2部は多様な講義を分野別に紹介し、活動の奥深さを知ることができる。

 運営委員会は大嶋さんを中心に2年がかりで本を編集した。行政に依存せず自主独立の運営を当初から貫き、受講料を基にした活動費の工面に苦労しながらも「総合知」の場を提供してきた存在意義を再認識している。森川代表は「本を通じて運営者と参加者の情熱を改めて感じた。人と人とのつながりがあるから続けてこられた」と指摘する。コロナ感染状況を注視しながら、5月に対面講義を再開できるか検討していく。

 本は花書院(福岡市)から300部を刊行した。価格は設定せず、希望者には活動趣旨への賛同で寄付を受け付ける。問い合わせはからつ塾事務局の電子メール karatsujuku87@gmail.com

      (辻村圭介)

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