最近、気に入ったサクラの香水がある。今年のサクラは見頃が早く、満開からあっという間に花が散った。本物のサクラの香りを想像しながら、日常的なマスク生活の中でいつの間にか通り過ぎてしまう景色があるのだろうなと感じる。

 唐津市肥前町にある佐賀県の天然記念物「切木ボタン」。切木ボタンにちなんだ公園「ぼたんと緑の丘」では4月中旬にボタンが満開を迎え、写真を撮りに向かった。100種類ほどが栽培され、見頃は例年より10日ほど早かった。

 園内を案内してもらった施設長が、明るい黄緑色のつぼみを付けた木の前で足を止めた。「この木はね、バナナみたいな甘い香りがするんですよ」。ボタンではなく、中国原産のオガタマという木だった。

 来園客がそのことを知らせたといい、「恥ずかしながら自分たちも言われて気づいたとですよ」と施設長。マスクを外してみると、濃厚でフルーティーな香りがしてきた。久しぶりに感じた香りの幸せに、思わず頰が緩んだ。(唐津支社・横田千晶)

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