嘉数誠教授が作製したダイヤモンド半導体の電子部品(中央)。世界最高水準の出力電力を得られるという

ダイヤモンド半導体を使った電子部品を持つ嘉数誠教授=佐賀市の佐賀大本庄キャンパス

 佐賀大学理工学部の嘉数(かすう)誠教授(60)=半導体工学=は20日、「ダイヤモンド半導体」を使って電力を制御したり、変換したりする電子部品を作製し、世界最高水準の出力電力を得ることに成功したと発表した。実用化にめどが付き、現在導入が進む移動通信システム「5G」の次に到来する「6G」の携帯基地局など広範な応用が期待できるという。5年以内の量産化を目指す。

 ダイヤモンド半導体は、従来のシリコン製などに比べて性能や耐久性に優れ、「究極の半導体」と呼ばれている。優れた特性は理論的に知られ、20年以上前から世界中で研究されてきた。だがこれまでの研究では理論上の数値よりも電流値が極めて低く、電子部品の寿命も極端に短いという課題を抱えていた。

 研究は「アダマンド並木精密宝石」(東京)と共同で進めた。同社はサファイアの上に人工ダイヤモンドの結晶を成長させることに成功し、高純度で従来より大きなダイヤモンドウエハー(集積回路の基板)を開発した。

 佐賀大学はこのウエハーを使い、電子部品を作製した。「半導体の世界では非常識な思い付き」(嘉数教授)という重層構造の層の入れ替えによる電気伝導の改良で、従来のダイヤモンド半導体の約20倍となる世界最高の出力電力を記録し、部品の劣化を抑えることもできたという。研究成果は20日付で国際学術論文誌「アプライド・フィジクス・エクスプレス」に掲載された。

 嘉数教授は、ダイヤモンドの研磨にかかるコストを課題に挙げ、「世の中の隅々に使われているシリコンからすぐに切り替わることはないが、少し値段が高くても利用したほうが有利な電気自動車や宇宙での利用から置き換わっていく」と今後を見通した。さらに「ゆっくりしていると米国や中国に追い抜かれてしまう。日本を再び半導体大国にしたい」と力を込めた。(宮﨑勝)

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