徳川埋蔵金、海に沈んだ財宝船…。存在するかどうか分からないが、「宝探し」は人々のロマンをかきたてる◆文化財発掘調査も宝探しのようなものだろう。土の質、色の違いなどを注意深く観察し、スコップやへらなどを使って丁寧に掘り下げていく。そんな地道な作業から歴史的な発見は生まれる◆吉野ケ里遺跡(神埼市郡)が「邪馬台国」と絡んで全国的な注目を浴びたのは平成元(1989)年2月下旬のこと。昭和天皇の逝去や「北方事件」の発覚で重苦しかったムードを吹き払った。「吉野ケ里フィーバー」は政治を動かし、遺跡は工業団地から一転して保存が決まり、91年に国特別史跡に指定された。その10年後の2001年、国営吉野ケ里歴史公園がオープンした。きょう21日は開園20年の節目の日だ◆バブル景気が続き、経済成長がより重視された当時、国営公園として保存された吉野ケ里遺跡の歩みは奇跡のように映るが、そもそも、工業団地の開発に伴う大規模な発掘調査がなければ遺跡の発見にはつながらなかったのだから、必然的な流れだったのだとも思える◆もちろん、宝があると信じ、探し当てた担当者の熱意と努力があってこそ。もうすぐゴールデンウイーク。吉野ケ里歴史公園に行ってみたい。諦める一歩先に宝がある。そんな卑弥呼の声が聞こえるかもしれない。(義)

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