ボブ・ディランのフォーエバーヤングも絵本を繰りながら歌ってくれた

 鶏舎にいても自宅にいてもトラクターや草刈り機の音が伝わってくる。もう間もなく地域の田植えが始まる。我が家の苗代もすくすくと育ち、早く大地に根付かせてやりたいと胸が高鳴る。

 先月末、次女の友人が遠くの大学に入学する前にと佐賀市街地から来てくれた。昨年秋に我が家で催した哲学カフェの講師であった広島在住のアメリカ人詩人との出会いから、自分の行く道をさらに考え、進路を変更した女の子だった。

 一緒に連れてきたALT(外国語指導助手)のアメリカ人と皆で一緒に昼食を囲んだ。大学での希望あふれる話の最後に彼女は言った。興味ある学びやいろいろな人々との出会いで私の世界はどんどん広がっていくだろうけれど、何のために大学にきたのか、何のためにここにいるのか、を忘れてしまわないように気をつけます、と。

 中学からずっと合唱部だった彼女はお礼に歌を歌いたいと言った。アカペラでの歌声とその姿に、僕の体は強烈な何かに押されて全身が熱くしびれるようになってしまった。一体あれは何だったのか。彼女の原点への思いだったのか。(養鶏農家・カフェ店主 小野寺睦)

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