ひきこもりや貧困といった複合的な課題に自治体が一括して対応できるよう4月から新設された事業に、佐賀市など全国の計285市区町村が乗り出すことが18日、厚生労働省への取材で分かった。介護や障害福祉、困窮者、子ども向けの予算を一本化し、分野横断的に社会参加を支援する仕組み。住民やNPO、企業なども巻き込んだ「地域共生社会」づくりが本格的に動きだす。

 今月1日に施行された改正社会福祉法に基づく事業で、国が交付金で財政支援する。285市区町村のうち、本年度から実施するのは42。佐賀市など残り243は来年度以降を目指して準備を始める。

 政府は新事業について(1)世代や属性を問わず相談を受け、複数の行政機関による連携や訪問型の支援を実施(2)制度のはざまにあるニーズに対応(3)住民同士が交流できる場や居場所の確保―などの内容を想定している。

 42自治体のうち北海道鷹栖町は、心身の問題で就労が難しい人や困窮者、高齢者らへの「働くきっかけ応援事業」を本年度から強化。カフェや農業で働く体験を積めるようサポートする。

 部局横断の会議でケースごとに支援策を検討。出席する職員は障害福祉や就労支援の担当、学校の教員など必要に応じて柔軟にかえる。町の担当者は「個人情報をどこまで共有できるかがネックだったが、法改正で解消された」と話し、より効果的な取り組みを実施したい考えだ。

 愛媛県宇和島市は訪問型の活動に力を入れる。複雑な課題を抱える人に出向いて対応する「まるごと相談員」を12人任命。担当者は「制度の枠組みを気にせず、対象世帯の全員を支援しやすくなる」と話す。

 愛知県豊田市は介護や子育て、困窮者支援などの民間事業所による「とよた多世代参加支援プロジェクト」を開始。既存の事業では対応できない人向けに独自のサービスをつくり、提供する。担当者は「民間の知恵を生かして新しい手法を生み出したい」としている。【共同】

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