中学生1人が入学した滝野小・中学校の入学式。来年春で閉校になる=伊万里市東山代町

築60年で老朽化が進む大川小。伊万里市が東陵中への統合を計画している=同市大川町

伊万里市が示した当面の小中学校の統廃合案

 伊万里市で小中学校の統廃合に向けた動きが本格化している。市は昨年、今後10年をめどに小学校5校、中学校1校を減らす案をまとめ、市教育委員会が地元を交えた協議を始めた。少子化が進む中、他市町と比べて学校の統廃合には慎重だったが、ここにきて一気に進み出したように見える。経緯と背景をまとめた。(青木宏文)

 市内には現在、小学校14校、中学校7校、9年制の義務教育学校1校(南波多郷学館)がある。学校の統廃合が市民生活に与える影響は大きく、市は段階を踏んで議論を進めていく。まず、市長部局が人口動向と校舎の劣化状況を踏まえて全体の青写真を提示。それをたたき台に、市教委が個別案件について協議する。

 市が昨年8月に公表した統廃合案では、実施時期を「今後10年」と「それ以降」に分けた。

 今後10年での実施を提案したのは、滝野小・中の東山代小、国見中への統合▽山代西小の山代東小への統合▽牧島小の伊万里小への統合▽大川小、松浦小の東陵中への統合(9年制導入)。現状で複式学級や校舎の老朽化の課題があり、早期の対策が必要として既に市教委で協議に入っている。

 それ以降については子どもの数の動向次第になるが、今のペースで減少が進めば、大川内小の立花小への統合▽山代(東・西)小の山代中への統合(9年制導入)▽黒川小、波多津小の青嶺中への統合(同)▽南波多郷学館の東陵中への統合-を検討するとしている。

 市によると、市内小中学校の児童生徒数はここ20年で2割減った。この間、小、中学校は統廃合により1校ずつ減少。唐津市が2005年の市町村合併以降、小中で16校減らしたのと比べると、元々の学校数の違いを考慮しても、伊万里市で統廃合が進んでいないのが分かる。合併特例債が使えない事情はあったが、同様に合併をしていない多久市は13年、小中学校10校を小中一貫校3校に再編した。

 今、統廃合を推し進めるのは、市が全ての公共施設の再編に着手したことが背景にある。市の公共施設は1970~80年代に建てられたものが多く、それらが更新時期を迎えて財政の負担となっている。現在の予算規模のままだと、既存施設の4割を維持できなくなる見通しで、総床面積の半分を占める小中学校も再編の対象となった。

 公共施設の再編は国の要請を受けた動きであり、「国からの財政支援があると見込んでいる」と市の担当者。学校の統廃合をするにも校舎の改修など費用は掛かり、市の負担が少なくなる形で計画を進めたい考えだ。

 ただ、学校は、地域のよりどころという経済合理性では測れない役割も担っており、市には住民に対する丁寧な説明が求められる。

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