有田町の景観(北東より)。下方左寄りの白い部分が泉山磁石場

 コロナ禍で、東京オリンピックは、海外からの訪日客を入れずにやるとかやらないとか。近年、インバウンドは右肩上がりで、経済の大きな柱へと育ちつつあっただけに、大きな痛手には間違いない。

 ただし、コロナ後を見すえて有田町でも、「有田インバウンド多言語解説整備協議会」を立ち上げ、観光庁の補助金で町内の観光スポットの解説文作成が進められた。

 全国的にも同様だが、近年の解説文と言えば、来遊客の多い中国語や韓国語を加えることが目立っていた。しかし、最近では政治情勢もあり、安定的な体制の構築には、支出額も多い欧米客をターゲットとした対応が求められている。

 これまで英語の解説文は、元となる日本文の直訳が一般的で、文化や生活の違いから、外国人には理解できないことや、必ずしも興味を引く内容とはなっていなかった。そこで、今回は外国人ライターが直接現地を訪れ、最初から英語で解説文を作る手順で行われた。

 その中でも、やはり理解を得るのが難しかったのは、「1616年に泉山磁石場が発見されて、磁器が創始された」という伝承はないということ。これは昭和期の創作話で、まだまだ日本語の解説にも見られるため、早く令和の研究史が反映されるよう務めたい。

 今回は、東・西の地区を併せて47の解説文が作成されたが、今年度以降、パンフレット、案内板、Webをはじめ、それらを利用した事業が予定されている。

(有田町歴史民俗資料館長・村上伸之)

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