広陵(広島)を破り、全国制覇した瞬間、両手を挙げで喜ぶ久保貴大さん(右)=甲子園(2007年8月22日)

 2007年夏の甲子園で全国制覇した佐賀北高のエース久保貴大さん(24)=武雄市=が今月、佐賀大大学院に入学した。大学、社会人野球を経て、高校教師になる夢をかなえるために帰郷。大学院での勉強に加え、教員採用試験に向けた準備、中学生の野球指導と奮闘している。

 久保さんは甲子園で宇治山田商(三重)との延長十五回再試合を含め、決勝の広陵(広島)戦まで7試合にすべて救援登板。切れ味鋭い変化球を武器に好投を続け、優勝投手となった。首都大学リーグの筑波大に進学し、1年から試合に出場。同い年で、現在はプロ野球・巨人で活躍する菅野智之投手(東海大)と投げ合ったこともあり、2年秋と3年春のリーグ戦は防御率2位と活躍した。

▽社会人経験

 12年春、居酒屋などを展開する名古屋市の企業チーム入り。春から秋までのシーズン中は野球中心の生活だが、店員として夜働き、朝から練習することもあった。一方で、高校教師になりたいという夢を抱き「社会人野球は2年間という自分なりの区切りを決めて入った。保健体育の教員免許は持っていたが、佐賀に戻り、もう少し勉強したかった」と2月に佐賀大大学院を受験し、合格した。

 大学院では、井上伸一教授の下で人の動作を分析するバイオメカニクスなどを学ぶ傍ら、井上教授が代表を務める佐大附属中の軟式野球クラブの指導にもあたる。「プレーを言葉で説明したり、表現したりするのは難しく、実際に動いて見せるのが手っ取り早い。ただ、そこは先生になるための修業と思ってやっている」

▽恩師もエール

 恩師で佐賀北高の百崎敏克監督(58)はVナインの中から“後継者”が誕生することを願っていた。「もともと浮ついたところがなく、社会人で厳しさも経験し、人間的にも厚みが増したと思う。長い目で子どもたちのいいところを伸ばす指導者になれる」とエール。久保さんは「やるべきことは多いが、毎日が充実している。甲子園では本当にいい経験をしたので、いつかは指導者として聖地へ行きたい」。マウンドからキャンパスに舞台を移し、新たな挑戦が始まった。

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