信号機のない横断歩道で、小学生の男の子が道路を渡ろうと立っていた。車を止めると、男の子は渡りきったところで、くるっとこちらを向いて頭をぺこり。「ありがとうございました」と元気な声でお礼を言った◆礼儀正しく、すがすがしい姿を見送りながら「止まってあげてよかった」と善行をしたような気分になる。でも、ちょっと待てよ◆本紙「ひろば」欄に分かりやすく説明した投稿(2日付、古川安市さん)が載っていた。お礼をするのはマナーの範疇(はんちゅう)だが、車が止まるのは交通ルールだと。横断歩道を渡ろうとする人を確認したら、車は一時停止しなければならない◆JAF(日本自動車連盟)は毎年、信号機のない横断歩道で一時停止の状況を調べている。昨年の調査によると、一時停止した車の割合は全国平均で21・3%。約8割は歩行者が渡ろうと待っているのに停止しなかった。佐賀県は全国平均を下回る18・1%。最近は停止する車が増えたような気もするが、まだ認識は低いようだ◆春の交通安全県民運動(15日まで)が展開されている。この時季は通学に慣れていないピカピカの1年生もいる。夢と希望にあふれた命が渡っていると思えば、止まらないという選択はない。律儀におじぎをする子どもたちを前に「止まってあげた」と、いい気になっていては恥ずかしい。(知)

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