オリーブの葉に包まれた国際連合旗の中央に、蛇が巻き付いた杖(つえ)がデザインされている。世界保健機関(WHO)のシンボルマーク。異様な感じもするが、ギリシャ神話に登場する名医アスクレピオスの杖で、医療の象徴とされる◆アスクレピオスは優れた医術で死者さえもよみがえらせた。功績が認められ、死後は「へびつかい座」として祭られたとされる。医神として現代まで引き継がれ、その杖はWHOをはじめ、世界各国で救急車に描かれたり、記章に使われたりしている◆7日はWHOの設立を記念した世界保健デーだった。毎年、テーマが設定されており、今年は「健康格差」となっている。新型コロナ感染に関わる不平等を克服するため、すべての国で希望の象徴としてワクチンが接種される世界を目指す◆佐賀県でも医療従事者のワクチン接種が進み、週明けから65歳以上の高齢者へと広がる。供給の見通しも立たない中、接種事業を担う市町は大変だろうが、住民のために踏ん張ってほしい◆アスクレピオスのように死者をよみがえらせるのはかなわずとも、守れる命は守りたい。医療に携わる人だけでなく、一人一人が感染予防を心掛け、窮地の社会を支える杖になる。星座の見分けもつかないが、どこかで見守っているはずの「へびつかい座」に願いを掛けて夜空を仰ごうか。(知)

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