火災から1年が経過したが、家屋の残骸は撤去されず、野ざらしになっている=杵島郡大町町

 昨年春、佐賀県杵島郡大町町で18軒が全焼し、2人が亡くなった火災から7日で1年。現場は今も焼け跡が残り、がれきも撤去されないままだ。焼失した家屋の多くは杵島炭鉱時代の住宅で空き家だった家屋も多く、相続人など関係者が多いことが要因。撤去に向けて町も動いてきたが、さらに時間がかかりそうだ。

 火災現場はJR大町駅の東北東約500メートルにある住宅地。昨年4月7日午前1時50分ごろ出火し、磯路町公民分館を含め18軒が全焼した。6世帯が焼け出され2人が亡くなった。白石署によると、火が出た場所はほぼ特定できているが、原因の調査は続いている。

 焼失面積は1670平方メートル。焼けた家屋の多くは、一つの屋根を複数の家屋が共有する長屋のような炭鉱住宅で、空き家も多かったため、片付けて建て替えることが難しかったという。

 焼け残った家屋や家財の撤去は所有者が行うが、こうした事情で進まなかった。町は昨年5月、当面の危険を回避するためブロック塀や家屋の残骸などを解体し、飛散を防ぐネットを張った。9月補正予算に撤去整備費約3千万円を組んだが、議会では町が費用を負担することを疑問視する意見もあり、撤去作業は見送った。

 町によると、焼失した公民分館を除く17軒のうち、14軒に2人以上の相続人がいて、合わせると60人近い。対象者には被災後2年で固定資産税の減免措置がなくなることと、相続者の間で代表者を決めるよう通知した。3月末が回答期限だったが、返答を寄せたのは半数にとどまっている。

 町は今後、代表者や地権者にがれきの撤去を求めていく考えだが、足並みをそろえた一斉撤去は難しそうだ。三角治副町長は「原則として個々の負担による撤去を求めていくが、難しさは認識している。所有者の意向を確認しながら、一日も早い撤去に向けた対応を考えていく」と話す。(小野靖久)

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