「カミングアウト」という言葉がある。自分の秘密を打ち明けること。一般的には性に関することが多い。出自や病気など誰にでも一つくらい、他人に知られたくない秘密、あまり見せたくない弱みはあるだろう。でも、オープンにしたことで気持ちが楽になることはある◆きょうから「ライフ面」で連載を始める。6年前のきょう、筆者を襲った「脳出血」からの職場復帰を振り返る。左半身麻痺(まひ)という、中途障害者となったわが身を題材にすることを不快に思う人がいるかもしれない。だが、病気やけがはお互いさまだし、この世に一人として同じ人間はいない◆童謡詩人金子みすゞさんの「わたしと小鳥と鈴と」に出てくる「みんなちがって、みんないい」の言葉には、多様性を認め合う大切さが込められていると思う。自分はもちろん、一人一人が大切な存在だと再認識したい◆カミングアウトは悩んだ末の告白で勇気も必要なため、親しい人から順に行うことが多く、打ち明けられた人は単純に聞いてあげるだけでいいといわれる。その秘密を他人に話すのは「アウティング」といわれ、これは許されない行為。近年、条例で禁止する自治体も増えてきた◆筆者の場合、カミングアウトというほど大げさなものではないが、せめて「みんなちがって、みんないい」社会への一助になればと思う。(義)

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