「まん防、まん防」と聞き慣れない言葉が流れ出したと思っていたら、大阪、兵庫、宮城の3府県にきょうから適用される。新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」である◆「まん防」の略称を連呼した政府分科会の尾身茂会長は「緩いイメージで不適切」との指摘を受け、あっさり認めて「重点措置を使った方がいい」と述べた。その重点措置は「緊急事態宣言」よりも対象地域を絞ったり、業態ごとに要請できたりするなど、機動性が特徴らしい。略称変更と同様、まさに機動的な対策を期待したいところである◆テレビの街頭インタビューでは「拡大防止のためには仕方ない」という意見とともに、「これ以上、どうしろと言うのか」と怒りの声もあった。国民の自粛頼みで、収束の兆しが見えたかと思えば逆戻りの繰り返し。ぼやきたくなる気持ちは分かる◆星野富弘さんの詩『幸せ』の一節が浮かぶ。〈辛(つら)いという字がある/もう少しで/幸せに/なれそうな字である〉。幸せな日常は奪われ、辛い日々を強いられている。今はまだ、「辛」と「幸」の違いがはっきりと見えてしまう◆辛さを抱え込むことが辛抱としても、希望を見いだせなければ耐え難い。検査の充実やワクチン接種の加速-。もう少しで幸せになれそうと思えるように、道筋を示すのは政治の責任である。(知)

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