源さくらは佐賀である、佐賀そのものであるー。
 ゾンビとなってよみがえった少女たちがアイドルになり〝瀕死の佐賀〟を救うアニメ「ゾンビランドサガ」。2018年10月公開、大ヒットした話題作の2期が4月、満を持して始まる。不幸を絵に描いたようなヒロイン源さくらは謎のプロデューサー巽幸太郎によって救われるのか? それは人口減などに苦しむ地方は活性化されるのかというアジェンダにも通底する裏テーマなのだ。そう、これは私たち佐賀県民だけに許された特別な視点も味わえる感情移入絶対の、必見のアニメなのである。
 さくらは第1話が始まって1分14秒で事故死する。主人公なのに、である。生前も、学芸会で主役に抜擢されるも当日に病気、運動会でもリレーの選手に選ばれたが肉離れ、高校受験を巡ってもさまざまな試練に襲われ不合格に…。
 健気で前向きな頑張り屋なのだが〝不幸体質〟とでもいうか自分ではどうしようもない不運に見舞われ、自暴自棄になっていく。そして、つぶやく言葉が「(運を)持っとらん」。そう、佐賀県民がよく口にする、あの言葉と同じなのだ。「(佐賀には)な~んもなか」と。さくらは佐賀の擬人化なのである。
 そんなさくらを見守るのがハイテンションキャラの巽幸太郎。しかし、その正体は不明で「持ってない」さくらを「俺が持っとるんじゃ~い」と支える姿にギャップ萌えするのだが、2人は巽の名前通り「幸せ」になれるのかーそれは佐賀救済のメタファーとして見逃せないテーマなのである。
 もちろん県民以外も楽しめるエンターテインメントであることは言うまでもない。声優陣が豪華でなおかつ全員、歌がうまい(ちゃんまきのイケボに震える)。楽曲も素晴らしく「アツクナレ」「ヨミガエレ」は最高のエールソングで力をもらえる。CGもぬるぬる動く感じが回を追うごとに良くなっていった。
 全編を通じて伝わるのが制作スタッフの「佐賀愛」と「アイドル愛」である。特に時代を象徴するアイドルへのリスペクトが半端ない。私の推しは昭和のアイドル紺野純子なのだが、第6話の渚(背景に唐津城)で、純子の後ろで「右手に缶コーラ、左手に白いサンダル」を持った女性がジーンズの男性と戯れるシーンに鳥肌が立った。分かる人には分かる演出で、ここでも多くは語るまい。
 さて、これまでに公開されたキービジュアルは、崩れ落ちる佐賀県庁の前で天を仰ぐ幸太郎、朽ちた駅前不動産スタジアムで「フランシュシュ」の7人が寄り添う姿、そしてタイトルに付けられた「R(リベンジ)」の文字。情報は少ない。
 エピソードが明かされていないゆうぎりと山田たえの伝説とは何なのか。正体が感づかれ始めた純子、水野愛と星川リリィはどうなるのか? リーダーの二階堂サキの活躍は? さくらと幸太郎の2人の未来、そして「存在自体が風前のともしび」の佐賀はどうなるのか? 最近、MAPPAが働き過ぎなのも気がかりの一つだが、2期への期待しか高まらない2021年春である。刮目して見よ。

(統合編集本部長兼メディア局長・森本貴彦)

 

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