先日、父方の祖父の7回忌がひっそりと行われた。妻である祖母は新型コロナウイルス感染防止のため、施設から外に出ることができず、参加することができなかった。みんなと一番会いたかったのは、祖母のはずなのに―。

 一方、2月に亡くなった母方の祖母は病気だった。「入院すると、みんなに会えなくなる」と伯母の家での闘病を選んだ。食事やマッサージなど、生活の手助けを身内で行い、時折祖母の呼吸に耳を澄ましては、緊張する時間を過ごした。ここは病院ではない。不安は消えなかった。

 コロナ禍、ただ「会いたい」というだけなのに、感染を防ぐために、こんなにも大きな不安が付きまとうようになっていた。厚労省によると、感染すると隔離され、亡くなると遺体は納体袋に入れて密封することなどが求められる。遺骨になるまで会えなかったケースもある。コロナ関連で、これまでに国内で亡くなった9千人を超える故人の遺族は、どのような「別れ」になったのだろう。

 幸い私の周りに感染者は出ず、葬儀では静かに眠る祖母の手を握り、マスク越しに「ありがとう」と伝えることができた。冷たさを感じることができる距離が尊かった。(メディア局コンテンツ部・松尾容子)

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