海上から見る玄海原発1~4号機

 九州電力玄海原子力発電所は、東京電力福島第1原発の事故から10年を経て、1、2号機が廃炉作業に入り、3、4号機は稼働している。地域の中に原発は存在し、今後もいつまでかは不明だが原発とともに人々の暮らしはある。事故を受けたさまざまな対策は取られているが道半ばであり、全国各地で自然災害が頻発するなか、教訓から学び続けることを常に意識して備えていきたい。

 佐賀新聞では3月、福島の原発事故から10年の節目に当たり、玄海原発に教訓はどう生かされているのか、地元や周辺住民の思い、暮らしを点検する連載「原発と暮らすということ」第8部を6回にわたって展開した。新規制基準の安全対策に沿うため工事が急ピッチで続く現場、原発事業に左右される地域経済、原発関連交付金が依然として財源の多くを占める町財政、避難計画の実効性や自治体のあり方など一部ではあるが点検し、当然ながら今なお課題が横たわる実態が浮かび上がっている。

 新型コロナウイルス感染症対策という新たな課題も重なった。すぐには移動がままならない離島の屋内退避でのコロナ対策も途上である。住民はもとより事業者や自治体にとっても、複合災害を意識した危機管理や防災対策の強化、避難計画の実効性を高めていく努力が引き続き求められる。

 気になるのは10年がたち、原発が立地する地域であることや、万が一に備えておくという意識が次第に薄れてきてはいないかという点だ。危機感をあおるつもりはないが、私自身を含め重大な事故が起きたときの状況を想像できているだろうか。地盤がしっかりしている、高台にあるから津波の心配は低いといったことは決して安全を担保するものではないということを心したい。ヒューマンエラーによる事故が起こりうることを忘れてはならない。

 防災意識の向上が繰り返し言われているが、例えば、どのような事故で、原発との距離がどれぐらいかによって自分が住んでいる地域が屋内退避となるのか、住民にどれだけ認識されているだろうか。避難してきた人たちを受け入れる自治体側の準備や意識が心もとない実態があることも、議会の指摘や取材を通じて見えている。くしくも、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)について、水戸地裁は3月18日、避難計画の実現可能性を疑問視して運転差し止めを命じた。

 普段、連絡手段や知見を得るなど何かと頼るスマホが使えない状況も起きうる。「その時」を想像し、何をしておかなければならないか、一度でも考えたことがあるかないかでは、命を守るために取る行動に差が出る。そのことも、被災者の体験から学んでいることであるはずだ。(辻村圭介)

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