政府は、新型コロナウイルス緊急事態宣言に準じた「まん延防止等重点措置」を宮城、大阪、兵庫の3府県に初適用した。大阪、兵庫で宣言が解除されてから1カ月、首都圏を含む全面解除からは2週間でまたブレーキを踏む局面に戻った。大阪府は経済を重視して2月末に期限より1週間早い解除を実現させたが、直後から再拡大が始まった。春に卒業、入学、就職の歓送迎会など行事が多いことは当初から懸念されたにもかかわらず有効に対処できなかった。増加する変異ウイルスの対策も不十分だった。

 関西で起きたことは首都圏も襲い地方に波及する可能性が高い。政府、自治体は宣言解除とリバウンドの因果関係を検証し次の一手を見いだす必要がある。既に入ったとみるべき第4波は第3波を上回るとも予想される。今までの延長線上にない対策でなければ乗り切れないと認識すべきだ。

 大阪府の吉村洋文知事は宣言解除後、段階的に経済活動を正常化する意向だったが、感染者数が上昇に転じ3月下旬に急増。1日当たりの新規感染者数は東京都を超え、感染状況指標の一部はステージ4(爆発的感染拡大)に入った。10~30代が感染の中心で、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、若者の集まり、飲食が増えた「春休みの影響」が原因だとする。重症化しやすい高齢世代に波及すれば、再び1月ごろのような厳しい医療逼迫(ひっぱく)が現実化するとみるべきだ。

 関西では感染力が高い変異ウイルスが主流になりつつある。全国で計約800人確認された変異株の感染者は、20人弱の東京に対し大阪130人、兵庫181人と多い。医療現場は変異株とそれ以外の感染者を分けて対応するため負担が大きい。これ以上の増加を止めなければ医療逼迫は想定より早まりかねない。

 政府は宣言全面解除の際、あるべきリバウンド防止の考え方を公表した。1月に宣言発令に至ったのは、感染状況がステージ3(感染急増)となった昨秋の時点で機動的に対策を発動できなかったことが原因だとして、判断基準を見直すと表明。無症状者の調査や変異株検査の強化、感染者が第3波ピーク時の2倍になる事態を想定した病床確保計画も打ち出した。

 いずれも第3波を防げなかった反省に立ち、実現すれば「延長線上にない」対策になるとも期待される。だが現実には、検討が緒に就いたところで第4波に直面せざるを得なくなっている。先の宣言解除は「次」への見通しが甘く、準備、戦略を欠く判断だったと言われても仕方あるまい。

 しかも今回のまん延防止措置は、飲食店への時短営業要請、イベント入場制限など前回の緊急事態宣言で取った対策の域を出ない。これでは数カ月ごとに手綱を締めたり緩めたりと、同じことの繰り返しにならないか。それがコロナ慣れ、自粛疲れにつながれば、ますます対策効果が薄まる。

 その中で厚生労働省の課長ら23人が、東京都が時短営業を求めている午後9時を超え深夜まで飲食店で会食し処分された。感染症対策も所管し、国民や事業者に自粛を求める立場で論外の行動だ。

 一方で人間の我慢に期待する対策には限界も見えている。自粛に頼らず私権制限が最小限でも効果が高い科学に根ざした対策を、政府は専門家とともに見いだしてほしい。(共同通信・古口健二)

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