休日、ごろごろしてばかりの夫が珍しく台所に立った。何をしているかと思えば、偉そうに「男の手料理」などとSNSにこそこそ投稿している。「いつもやってねぇくせに」と妻をいらだたせるそんな行為。名づけて「土日はだいたいオレがハラ」。「ダンナが家事やってる感出すハラスメント」だという◆『訴えたらむしろ負ける!!ハラスメント図鑑』は、日常の中で不快な気持ちにさせられる出来事を集めた一冊。ハラスメント(嫌がらせ)という言葉が一般的になり、何でも「○○ハラ」と名づけたがる風潮を皮肉っているようでもある◆仕事のアドバイスをしたくても「パワハラ」と言われそう。ファッションをほめたくても「セクハラ」と言われそう。そんな「何を言ってもハラスメントと言われそうなハラスメント」というのもある。ひと昔前まで当たり前だったコミュニケーションが成り立ちにくい時代である◆コロナ禍の鬱うっ屈くつした気分が余計、他者に寛容になれない一因かもしれない。「○○ハラ」と言葉が軽くなればなるほど、その痛みは見えづらくなる。〈ハラスメントって、社会問題のようで、人の心の問題なのかもしれません〉とは同書の教えるところである◆人を不快にしていないか、傷つけてはいないか、小欄も気にかかる。「(桑)ハラ」…なんて、しゃれにもならない。(桑)

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