「人との関係も自分の体も大事にして丁寧に生きる遠藤さんは、命を大事にしていると思える」と話す伊勢真一監督=佐賀市のシアター・シエマ

 映画「えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤滋」のバリアフリー上映会が20日、佐賀市松原のシアター・シエマで開かれ、伊勢真一監督が登壇した。伊勢監督は観客に全ての人が生きやすい社会づくりを呼び掛けた。

 映画は脳性まひで寝たきりの生活を送る歌人遠藤滋さんの日々を追ったドキュメンタリー。「ありのままを生かし合いながら生きる」ことを訴える遠藤さんを、それぞれに悩みを持つ若者たちが介助しながら自分を見つめ直す姿を描く。

 伊勢監督は2016年に相模原市の「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件を受けて、同作に着手した。スクリーンでは、遠藤さんが事件から生じた思いを短歌に込めている。

 作中で遠藤さんは、介助者に海へ連れてきてもらい海水の浮力で歩行できたことに破顔する。伊勢監督は「社会にもっと浮力があれば、みんなもっとできることが増えるのでは」として「自分自身が浮力であり続ければ、他の命のためになれる」と語り掛けた。

 上映会は県が主催し、バリアフリー映画を作る「みないろ会」が協力。日本語バリアフリー字幕とイヤホンで聞く音声ガイドを使って上映した。伊勢監督は「字幕やガイドを必要としない人もバリアフリー上映を体験して、違う状況にある人のことを想像して。そうすると、お互いの関係がより柔らかくなるのでは」と提案していた。

 同作は4月1日まで同館で上映する。問い合わせはシアター・シエマ、電話0952(27)5116。(花木芙美)

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