病気の「早期発見・早期治療」と「予防」

年1回の健康診断でメタボ発見。
  生活習慣を見直すきっかけに

  職場や市町の健康診断は、病気の早期発見・早期治療、将来の疾病を予防するために必要です。コロナ禍、健診やがん検診の予約をキャンセルするケースが見受けられますが、年に1回は健診を受けたいものです。ひらまつ病院の内科部長・副島修さんに健診の大切さ、生活習慣病に進む恐れがあるメタボリックシンドローム(メタボ)などについてうかがいました。

健診は生活習慣を見直すチャンス

 健康診断には「人間ドック」「生活習慣病予防健診」「事業者健診(定期健診)」「特定健診」などの種類があります。
 健診の目的は、日本人の死亡原因1位のがんなどの病気を早期発見して、早期治療につなげること。さらに、病気ではないものの、放っておけば病気につながる恐れがある症状を見つけることです。日本人の死亡原因2位の心疾患と3位の脳血管疾患は、その発症要因が「生活習慣病」や「メタボリックシンドローム」です。健診で見つければ予防につなげることができます。
 動脈硬化症、高血圧症、糖尿病、脂質異常といった「生活習慣病」と、「生活習慣病」と内臓脂肪型の肥満が重なった「メタボリックシンドローム」は、食生活や運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなどが原因で、自覚症状もないままに進行します。
 健診でメタボを見つけることは、本人の自覚を促して生活習慣を改善し、将来、脳血管疾患や心疾患にならないような体づくりをするチャンスです。早期発見・早期治療も大切ですが、そもそも病気にならないことが大事。心身や経済的な負担を減らすことにもつながります。

メタボと分かったら食生活改善と運動を

 

 健診では、主に腹囲測定、中性脂肪やコレステロールなど脂質、肝機能、腎機能を知るために血液検査や尿検査などを行います。検査は健診の種類によって違い、胃カメラや腫瘍マーカーなどの検査はオプションとなっていて、自分で選ぶことになります。健診は受けただけで安心してはダメ、その結果を受けてどうするかが大切です。
 メタボと診断された場合は内臓脂肪が多い状態ですから、まず食生活でカロリーを減らすこと。糖尿病や糖尿病予備軍は特に炭水化物を減らすと効果があることが分かっています。糖尿病になれば腎臓にもダメージを与えますから、しっかり予防しましょう。
 さらに、運動をすると効果的です。皮下脂肪と違って内臓脂肪は有酸素運動で減少し、「体重が1キログラム減ると腹囲は1センチ減る」と言われています。年配の方は大股で散歩をするなど日常に運動を取り入れて、メタボを改善しましょう。将来の病気予防のためにも継続することが大事です。コロナ禍なので、人との距離を十分に取って歩いてください。

脂肪肝から肝硬変になることも

 肝機能検査で「脂肪肝」と診断された場合にも、生活習慣を見直す必要があります。というのも、脂肪肝を患う人の中には、肝炎から肝硬変につながるケースがあるからです。食生活が豊かになっているので、今後メタボの人が増え、脂肪肝から肝炎、肝硬変へと移行する人が増えていくのではないかと予想されています。ただ、どういう人が脂肪肝から肝硬変に変化していくのか、まだはっきり分かっていません。まずは脂肪肝にならないようにメタボ改善が大事です。なお、C型肝炎については近年、画期的な内服薬が出ており医療費助成も受けられますので、一度医療機関にご相談されてください。

「貧血」と侮らず再検査を

 検査結果で「貧血」と記入されていた場合、多くの人は軽くとらえがちです。若い女性の場合は「鉄欠乏性貧血症」が多く、毎年「貧血」と指摘されている人はあまり問題はなく、鉄分の摂取を進める程度で大丈夫です。しかし、50歳以上、特に男性で貧血と指摘されている場合は注意が必要です。消化管からの出血が疑われ、進行がんの恐れもあります。「たかが貧血」と軽く思わずに、2次検査をしっかり受けてください。
 メタボは脳血管疾患や心疾患だけでなく、一見関連のなさそうな認知症のリスクを高めることもわかってきました。健康診断を受けメタボや生活習慣病を発見して改善に心がけていくことで、健康寿命を長くしましょう。

 MEMO  

 ひらまつ病院では個人や事業所向けに「生活習慣病予防健診」「事業者健診」「特定健診」「人間ドック」のほか、ピロリ菌検査・除菌も行っています。ピロリ菌は胃の粘膜に存在する細菌で、これに感染していると胃がんになるリスクが高いので、若いうちに検査・除菌をお勧めします。早期発見・早期治療を逃さないためにも、ぜひ毎年1回の健康診断を続けてください。入館時にはコロナ対策のために体温測定、体調確認を実施中です。

医療法人ひらまつ病院

 

 

 

内科部長 副島修

そえじま・しゅう 1997(平成9)年佐賀医科大学卒業。同大学附属病院総合診療部に入局。2011(同23)年よりひらまつ病院内科に勤務。総合内科専門医。日本病院総合診療医学会認定医。

 

 

 

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