亡くなった古賀稔彦さん

 現役時代には天才と称された古賀稔彦さんは指導者としても独特の感性を輝かせた。主に女子の指導で手腕を発揮。日本代表や所属先で教え子を世界の頂点へと導いた。

 代表的な例は2004年アテネ五輪女子63キロ級金メダルの谷本歩実。畳脇のコーチ席にいる自身へ、試合開始30秒以内に谷本が視線を向けなければ大丈夫と判断したという。弟子には「人の心を理解しなければ真の勝負師になれない」と説いた。谷本は後に「試合直前の古賀先生は耳元で必ず一言ささやき、背中をパーンとたたいて送り出してくれた。絶妙だった」と明かした。

 古賀さんは07年から総監督として岡山県の環太平洋大で女子を指導。78キロ級の梅木真美(現ALSOK)は15年に世界一となり、16年リオデジャネイロ五輪にも出場した。

 近年は総じて控えめな日本選手にもどかしさを感じており「わがままでもいいから、ギラギラとしたものを体から発散させてほしい。遠くから見ても光る選手がもっと出てきてくれないかな」と望んでいた。目を見て語り掛ける姿は名指導者の資質にあふれ、競技普及活動にも尽力。柔道界にとって、かけがえのない人材だった。(共同)

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