宮崎駿監督のアニメ映画「となりのトトロ」で、幼い2人の姉妹サツキとメイの母は結核で入院中と思われた。2013年公開の「風立ちぬ」では、ゼロ戦を生み出す航空技術者の主人公が結核に侵されていた女性を愛した◆きょう24日は「世界結核デー」。ドイツの細菌学者ロベルト・コッホ(1843~1910年)が1882年、結核菌を発見した日にちなむ。その後BCG予防接種などの研究が進み、結核は「不治の病」ではなくなった◆だが、薬剤耐性結核菌が現れ、「過去の病気」ともいえない。2019年の国内の新規結核感染者数は約1万4千人で、約2千人が亡くなった。コロナも変異株が出現したようにウイルスは一筋縄ではいかない相手だ◆結核は治療薬が開発されるまではきれいな空気の中で栄養をつけ、療養する以外に方法はなかった。結核に限らず、闘病に必要なのは体の栄養と心の元気だろう。「となりのトトロ」では退院が延びた母にもぎたてのトウモロコシを届けようとして道に迷ったメイが子どもにしか見えないトトロに助けられる◆「となりのトトロ」では目に見えない大切なものがあること、静かな悲しみの中に不戦の思いを描いた「風立ちぬ」では今を生きる大切さを伝えたかったのでは―。ウイルスとの闘いが続く「世界結核デー」にそんなことを思う。(義)

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