新年度予算や国の地方創生臨時交付金を活用し、佐賀県内の自治体が新たな新型コロナウイルス対応を進めている。目の届きにくい困窮への対応、産業や雇用情勢などの地域事情、PCR検査の拡充など多様な視点がある。きめ細かな施策が求められる。

 国の臨時交付金は本年度1次補正の1兆円、2次補正の2兆円に続き、3次補正では1兆5千億円が計上された。内閣府によると、佐賀県内自治体の3次補正の交付限度額は県が64億9742万円、20市町が47億5146万円。各自治体は限度額に応じた事業実施計画を国に提出する。早いところは今月中に配分が決まり、新年度に繰り越すこともできる。

 県内自治体のこれまでの新型コロナ対策は、休業要請に応じた飲食店などへの協力金支給、プレミアム付き商品券販売やクーポン券配布などさまざまな施策があった。観光業界を支援する宿泊費補助、漁業者への燃料費補助、佐賀牛の販売促進策など、地域の産業を考慮した取り組みもあった。

 先読みや目配りの効いた対応もあった。武雄市を例にとると、客が激減した飲食店を支援するため、テイクアウトの半額補助をいち早く打ち出し、昼食販売の場に市役所を提供した。国の持続化給付金支給に呼応して「国の支給までのつなぎに」と独自の緊急給付金を支給。今年初めの再度の飲食店への営業時間短縮要請では、協力金を上乗せする市町が多い中、飲食店以外の業界も支える独自の給付金制度を設けた。他市町にもひと味違った施策があった。

 第3次交付金の使途決定のため、もう一度、地域事情を頭に入れながらまわりを見渡してほしい。主要産業や関連する業界への支えは十分か。物入りな春を迎え、進学や就職の費用の家計や暮らしへの影響はどうか。授業料を納付する学生の暮らしは大丈夫か。新型コロナの影響で減収した世帯に無利子で最大20万円を融資する「緊急小口資金」の貸付件数は、既に全国で100万件、1900億円を超えている。困窮世帯は増えている。

 制度設計にも工夫が必要だ。営業自粛要請に応じた飲食店への国の協力金制度には、規模に関係なく一律給付されることへの不満や疑問も出た。早急かつ簡潔な給付のためにやむを得ない面は理解できるが、市町レベルになれば、収入減の額や家賃などの固定費、従業員数などの実態に即した給付も可能ではないか。飲食店に限らず、より困っている事業者や家庭を優先的に支える仕組みも必要だろう。倒産や失業、生活崩壊を防がなければならない。

 最近はPCR検査に関連する取り組みも始まっている。杵島郡江北町や武雄市は検査費用への補助制度を設け、多久市は市立病院にPCR検査装置を導入する。収束の兆しも見えず、変異株感染も広がっている中で、地方でも検査の拡充が必要だろう。

 全国34道県の知事は18日、飲食店への協力金に使える臨時交付金について、時短要請していない地域向けの「特別枠」を創設することや、関連事業者にも幅広く一時支援金を支給できるようにするよう地方創生相に要望した。こうした動きも注視しながら、必要な支援策を打ち出したい。(小野靖久)

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