多様な価値観を認める大切さなどを語り掛けた土井敏邦さん=小城市の牛津公民館

 小城市牛津町出身のジャーナリストで映画監督の土井敏邦さん(68)の講演会が14日、地元の牛津公民館であった。パレスチナ・イスラエル問題や福島第1原発事故など自らが手掛けたドキュメンタリーを上映しながら、「他者の痛みを分かる感性を持つことが人間にとって一番大切」と訴えた。

 土井さんは2014年、イスラエルの攻撃を受けたパレスチナ・ガザ地区に約1カ月間滞在。ドキュメンタリー作品では、武力行使によって日常を奪われて苦悩する人々の暮らしや思いを映像で紹介する。現地での取材は30年以上にわたり、「遠い国の問題を自分にとって近い問題として感じてもらう材料を提供することがジャーナリストの役割の一つ」と話した。

 東日本大震災後、4年にわたって東京電力福島第1原発事故の被災者14人にインタビューし、その証言を集めたドキュメンタリー「福島は語る」を19年に公開。「(パレスチナでは)人災で故郷を追われた人たちを取材してきた。ならば、あの災害で故郷を奪われた人たちのことを伝える意味があると思った」と取材のきっかけを明かした。

 土井さんは、聴講していた中高生に「他人の痛みを感じ取る感性を持つには、多様な価値観を認めることが大事。若いうちに海外に挑戦してほしい」と呼び掛けた。牛津中2年の福田結菜さんは「パレスチナの現実は土井さんの話を聞くまであまり知らなかった。海外に興味を持つきっかけになった」と話した。

 講演会は土井さんの同窓生らでつくる実行委員会が主催し、約150人が聴講した。(松岡蒼大)

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