杵島郡江北町議会は17日、JR肥前山口駅の駅名を「江北駅」に改称するための関連費を含む2021年度一般会計当初予算案を賛成多数で可決した。町は3月中にJR九州と駅名改称に関する協定を結ぶ予定で、22年秋にも改称される見通しになった。駅名の存続を求めていた住民有志は「思いを受け取ってもらえなかった」と残念がり、今後の対応を検討している。
町は知名度アップや22年に町制70周年を迎えることを理由に、22年秋ごろに予定される九州新幹線長崎ルートの暫定開業に合わせた駅名改称を目指している。
当初予算案にはJRのシステム改修費や駅名改称、関連イベントへの補助などに898万円を計上した。駅北口へのコンテナショップ整備費や自由通路の改修費を含めた21~23年度の「駅活性化事業費」2億3768万円を債務負担行為で盛り込んだ20年度一般会計補正予算案も提出した。
採決の結果、いずれも賛成7、反対2の賛成多数で可決した。駅名改称の中止を求める請願は不採択とした。
町は3月中に、長崎ルートの暫定開業時に駅名を改称する要望書をJR九州に提出し、改称に向けた協定も結ぶ。町政策課は「駅名の維持を求める声もあったが、いい駅になったと言ってもらえるように駅周辺の活性化事業を進めていきたい」と話した。
町民有志でつくる「『肥前山口』駅名を守る会」は「由緒ある駅名を変える必要はない」と改称に反対し、6402筆の署名を町に提出していた。家田和枝代表は「事業に関し、町民への分かりやすい説明と意見の聞き取りが不十分。これで終わったとは思っていない」とし、今後の活動について協議していくと話している。(松田美紀)
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