あるはずのものが見当たらなかった。東日本大震災から10年となる3月11日、唐津支社で、玄海原発事故時の取材に備える資機材を収めた段ボール箱を開けてみた。簡易な防護服、使い捨ての防じんマスクなど中身を記した用紙を基に確認していて、ある物がないことに気付いた。「あれ、線量計はどこだろう」

 別のロッカーに「古い分」と箱に書かれた旧式の線量計を二つ見つけた。用紙には「電子ポケット線量計3個」とある。別物に違いない。支社内の記者をはじめ関係者に尋ねてみた。「箱の中にあると思っていたが」との返答、いずれも不確かな記憶だった。

 次の日、もう一度探し、最初の箱の中に、英語で「CAUTION!」(注意)などと書かれた袋が「三つ」あったことを思い出した。使用済みの手袋など放射性廃棄物を捨てるための袋と思っていたが、もしや。ガムテープで封印された黄色い袋を開けてみると、ビニールに包まれた未使用の電子線量計があった。

 「万一に備え定期的に点検を」と、昨年4月の着任前に受けた先輩の助言を思い出して確認してみたが、恥ずかしい限り。玄海町担当記者は線量計を携帯するようにし、改めて足元の備えを自戒した。(唐津支社長・辻村圭介)

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