4台あるカメラが送ってくるリアルタイムの映像から好きな視点を選びスマートフォンで見られるマルチアングル視聴の画面

 SAGAサンライズパーク総合体育館の大競技場で2月初旬、ハンドボールを対象に5G(第5世代)移動通信システムの実証実験が行われた。高速・大容量通信の最新技術により手元の5G対応スマートフォン(スマホ)で好きなアングルから観戦したり、選手のプレー中のデータをリアルタイムで確認したりできる。スポーツ観戦の新たな楽しみ方が広がった体験をルポする。

 日本ハンドボールリーグ男子・トヨタ紡織九州レッドトルネード-北陸電力戦をモデルとした実証実験で、マルチアングル視聴、スポーツデータの可視化など最先端の技術を用いたコンテンツが披露された。

 私は2階観客席から観戦した。コート全体は見やすいものの、遠くのゴール周辺での動きはなかなか分かりづらい。そこで5G対応のスマホで、今回の実験の目玉であるマルチアングルを起動した。

 アリーナや2階席から撮影しているカメラ4台の映像のうち、遠くのゴールに近いアリーナのカメラを選ぶと、席からは見えづらいゴール付近が映し出された。チャンスをうかがう選手たちの表情や視線の動きまでよく分かる。続いて2階からの映像に切り替えるとゴール周辺を俯瞰(ふかん)でき、パス回しから隙をつくり攻め込む選手たちの一連の動きをつかめた。

 選手は全員、腰に超小型のセンサーを装着し、スマホでは一人一人の現在地やスピード、移動距離、ジャンプの高さなどのデータを一覧できた。データと照らし合わせながら観戦すると、得点やアシストなどとは違った選手一人一人の特性や、その日の調子なども分かるかもしれない。より“玄人目線”の観戦を誰でも手軽に楽しめるコンテンツとなりそうだ。

 観客席からは見えなかった視点やデータが、リアルタイムで手に入る―。すぐそこに迫る未来の観戦スタイルは、私たちスポーツファンに、競技を丸ごと把握できるかのような新体験をもたらしてくれそうだ。(志垣直哉)

 

 ■第5世代(5G)移動通信システム

 携帯電話などに使われる通信方式の新規格。これまでの第4世代(4G)に比べ、通信速度が約100倍に向上し、多くの通信機器を同時にインターネットにつなぐこともできる。スマートフォンを使った個人向けの動画配信といったサービスに加え、自動運転や遠隔医療などの産業分野での活用も期待されている。佐賀県は2020年度の予算で、導入に向けた独自コンテンツ開発や産学官連携の検討会設置を掲げていた。

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