卒業制作に見入る昨年度の有田セラミック分野の4年生ら。有田キャンパスで学んだ最初の卒業生となった=2020年3月、有田町の佐賀大キャンパス

正月飾りづくりを楽しむ親子=有田町岳の棚田館

有田町内山地区にある敷地活用案について、発表する佐賀大理工学研究科の建築環境デザインコースの院生たち=5日、有田町の佐賀大有田キャンパス

 2017年4月、有田町に佐賀大学有田キャンパスが開設されてから間もなく4年がたつ。芸術地域デザイン学部の有田セラミック分野の学生らが学び、地元窯業界へと進む人材も。肥前セラミック研究センターは、陶磁器関連企業との共同研究や、地域おこしへの参画などで地域と協働している。18年12月には、佐賀大と有田町で包括連携協定を結び、さらに協力関係を深めている。(古賀真理子)

 

【芸術地域デザイン学部】

 同大有田キャンパスでは、芸術地域デザイン学部芸術表現コース有田セラミック分野の学生が、2年時からメインキャンパスとして学んでいる。同分野以外の学部生も3年時に、地域の課題解決などを探る「地域創生フィールドワーク」や、作品制作の「有田キャンパスプロジェクト」の通年科目を通して、同キャンパスや同町で活動する。

 吉住磨子学部長(58)は「有田キャンパスや地域でさまざまな活動に間断なく取り組んでいる。キャンパス前の通りの作品展示などを通して、認知度も上がってきたのでは」と話す。

 同学部は有田キャンパス開設の1年前に設置され、19年度に初めて卒業生を送り出し、有田セラミック分野では13人中2人が窯業関連に進んだ。翌20年度には院生を含む11人中5人が肥前窯業圏に就職や進学するなどしており、地元が期待する窯業の人材も輩出している。

 20年度はコロナ禍で行われなかった公開講座も、21年度には再開予定で、知識の地域還元に努める。

 

共同研究や棚田で活動

 【肥前セラミック研究センター】

 肥前セラミック研究センターは、芸術、科学、マネジメントの三つの研究部門がある。窯業界や地域活性化などでの貢献を目指し、各研究部門が連携しながら研究を進めているのが特徴だ。芸術、経済、理工系など多分野の教員、研究員らで組織し、2017年の設立当初の15人から現在は25人に増え、体制を強化している。

 有田町では、陶磁器メーカーとの共同研究などが進む。最近では、一ノ瀬弘道特任教授(64)らと香蘭社が、型を用いた陶磁器の成形で、生地となる液状の陶土(泥しょう)が自己硬化する技術を開発した。

 本田智子准教授(59)は、地域おこしの分野で実践的活動を展開。農家の高齢化が進む岳の棚田で、住民らと活性化策を練っている。昨年12月には園児と保護者向けに、学びながら工作する正月飾りのワークショップを開いており、これから活動を本格化させる。「まずは町内の人に棚田をいいなと思ってもらう活動を」と計画を進めている。

 

 【特定プロジェクト】

 佐賀大が戦略的に進める特定プロジェクトとして、有田町との協働事業・共同研究3件が採択されている。一つはSTEAM教育で、今後本格化する。また、理工学研究科の建築環境デザインコースの院生が、2040年を想定した内山地区の敷地活用を研究、提案するプロジェクトも展開された。指導教諭の一人、宮原真美子准教授(39)は「有田キャンパスがあることで、有田での活動機会につながった」と拠点がある重要性を話している。

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