草場武彦さん

 高校時代まで有田で過ごした。実家は段ボールから焼き物用の箱を作る会社を営んでいたので、手伝いをしていたことを思い出す。近所の高台に登って、真っ白な煙を吐いて走っていく蒸気機関車を見ていたのが原風景だ。

 20年ほど前のロンドン特派員時代、大英博物館での特別展のニュースを担当した。その際に、現地で有田焼の研究者と出会い、日本語で熱弁を振るわれて、その魅力に改めて気付かされた。

 一方、家具デザイナーのコンラン氏が有田焼に関心を持って町を3度訪れたが、そのチャンスをものにできなかったことも知り、もったいないと思った。有田に貢献できればとの気持ちが強くなり、町の何人かと勉強会の場を設けたりもしてきた。

 有田焼の良さは「質」。400年のさまざまな思いが作品に込められているという意味での「質」だと思っている。社会も客も変化している中、変化を恐れずに常にチャレンジしてほしいと願っている。

 有田焼は器を売っているのか? そうではない気がする。それが何かは、有田の人が答えを持っていると思う。創業400年から5年が立つ。常に変化しながら、その答えを探してほしい。(東京都)

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