まちづくりの方向性を語る有田町の松尾佳昭町長=有田町役場

■住民に寄り添い話聞く

 -有田焼の業績が低迷する中、コロナ禍で主力の業務用食器は苦戦を強いられている。立て直し策は?

 百貨店で焼き物が売れなくなり、雑貨店やネットに変わってきた。ホテルやレストランの経営が厳しくなる中、業務用とは何かを考える機会だろう。独特の商慣習があるが、昨年のWeb陶器市で「自分たちは変われる」と“代替わり”が起きた。業界に話を聞きながら、次のステップが踏めるような施策を考えたい。

 -内山地区のグランドデザインを考える検討委員会が昨秋に立ち上がった。

 町内の佐賀銀行3拠点の統合移転が決まったことで、現有田支店を起点に未来をデザインする機会と考えた。有田焼400年を支えてきた土地を、守るべきは守り、変えるところは変えたい。若手による部会では暮らしの面など柔らかなエッセンスを加えられたら。

 -観光面の施策は。

 コロナ禍で観光が小休止している間に地域の磨き上げをして、2022年のJRと佐賀・長崎両県で進める観光キャンペーンに備えたい。県の事業で海外の著名デザイナーが滞在したことで、有田に来た人も少なくない。インバウンド(訪日外国人客)では、竜門峡、棚田、内山地区は呼び込みの花火になると思う。

 -農業も後継者不足だ。

 焼き物だけなく、農業もあるから有田。西有田地区は集落的営農の結いの文化がある。オーガニックや、自然と水を生かした珍しい農産物の作り手と、その生かし手も出てきた。兼業も多いので、集落的営農で取り組めることなど農家に寄り添いながら進めたい。

 -留学生が多い立命館アジア太平洋大学(APU)との連携の狙いは。

 国際色豊かな町にしたい。先日、初めてインターンシップを受け入れたが、今後は単位化を目指し、将来、町内での雇用や起業に結び付けたい。観光系の新学部創設が予定されており、国際都市への機運醸成の第一歩となれば。

 -多世代交流センター「ゆいたん」が昨年開所した。今後の展開は。

 地域で子育てした昔と違い、子育て世代の悩みも多いので、開所の成果が出ていると感じている。子育て世代と高齢者だけでなく、幸せな家族になるための夫婦会議にも取り組めた。ソフト面をさらに充実させ、情報発信基地にしたい。

 -立地企業が決まった後にニーズに応じて造成する従来のオーダーメード方式から転換した南部工業団地の進ちょくと、雇用創出は。

 コロナ禍で誘致活動は厳しく、造成するかを含めこの1年が見極め時になる。アンテナを張り、情報収集したい。一方、AI(人工知能)で有田焼が産業として残る手立てを考えるLIGHTz(進出企業)のようなマッチングパートナーを探し、雇用確保にも結び付けたい。

 -任期の最終年となる。

 有田の強みを、住民に再認識してもらえるような1年にしたい。「有田みらいタウン構想」でデジタル化と、文化や風土によって心身がととのうことが共存するまちづくりも進めたい。(古賀真理子)

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