有田みらいタウンのタウン長に就任した小川和也・グランドデザイン社長(右)と松尾佳昭町長(有田町役場提供)

STEAM教育の一環で開いた、ドローンを飛ばすプログラミング教室=2020年8月、有田町文化体育館

有田みらいタウンのイメージ図

 最新のデジタル技術を活用して組織を変革するDX(デジタル・トランスフォーメーション)の事業を軸にした、有田町の「有田みらいタウンプロジェクト」が始動した。デジタル庁発足が今年9月に予定され、自治体のデジタル化が求められている。デジタル技術を活用して行政の効率化を図り、都市部との格差を解消するだけでなく、心身や生活環境を整えられるまちづくりにも同時並行で取り組む。

 みらいタウンのタウン長には、「人とテクノロジーのあたたかい共存」を提言する北海道大客員教授でグランドデザイン社長の小川和也氏が、昨年12月に就任。有田町と構想を進めてきた。

 テーマは「あたたかい未来をつくる町」。自治体システムの効率化などで町をDX化する「デジタル化タウン」と、町の文化や風土を生かして暮らしの充実を目指す「ととのうまち」の二つのコンセプトを両輪に、共存、融合させる。

 現段階では、行政事務の効率化などを図る「DX局」、理数系と芸術を横断的に学ぶSTEAM(スティーム)教育、テレワーク浸透を見据えたサテライトオフィス事業、食品ロス削減対策といったセクションやコンテンツの設置を想定している。

オンラインでつながり促進 棚田オーナー、観光体験…

 構想では、同タウンと連動する形で、ウェブ上のコミュニティー「有田みらいタウンWEB」なども進めるとしている。DX化を通して同町と関係する人を町外に増やす取り組みで、SNSなどの活用を想定。町内外の人に登録してもらい、各コンテンツを通じて有田町の情報を発信し、交流を図る。

 コンテンツの候補は、棚田オーナー制度、子育てママ会、絵付け教室、観光体験、アクティビティーなど。棚田オーナー制度では、町外の人が現地での田植えと稲刈り体験以外に生育状況の確認をオンラインできることを、観光体験ではオンラインのガイドツアーで町の魅力を伝え、実際の観光につなげることをイメージしている。

 プロジェクトの一部は、既に着手している。STEAM教育では、昨年8月、小学生向けにコンピューターで動作内容を作成して小型無人機「ドローン」を飛ばすプログラミング教室を開いた。今年2月には女子中学生を対象に、佐賀大肥前セラミック研究センターと講座を共催。科学と芸術に共通する数列について、リースづくりを通して紹介した。

 プロジェクトの内容決定や具体化はこれからだが、松尾佳昭町長は「デジタル化は、役場がハンコレスになるといったことだけではない。例えば、申請書を出さなくても体育館の鍵が暗号化されていて、スマホをかざせば開くといったような、時間と距離を縮めることだ。その一方で、一緒に田畑を耕して収穫祭をするような人とのつながりを持つあたたかい町が、有田町の新しい将来像と考えている」と、町の未来を描いている。(古賀真理子)

DATA LAND

 2006年3月1日、旧有田町と旧西有田町が合併して誕生。7816世帯、人口1万9450人で、男性9056人、女性10394人(ともに2月末現在)。

 佐賀県西部に位置し、面積65.85平方キロで、長崎県佐世保市や波佐見町と隣接する県境の町。基幹産業は窯業と農業、棚田や黒髪連山など美しい景観や自然にも恵まれる。2016年に有田焼創業400年、2018年には唐船城築城800年を迎えた。焼き物産地としての文化的景観が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関イコモスの「日本の20世紀遺産20選」に選ばれた。

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