九州電力玄海原発3、4号機の設置許可取り消しと、運転差し止めを巡る12日の佐賀地裁判決の要旨は次の通り。

 【設置許可取り消し】

 ▽主文と結論

 一部の原告の訴えを却下し、残る原告の請求を棄却する。原子力規制委員会の審査や判断に不合理な点はなく、違法とは認められない。

 ▽原告適格の有無

 規制委による原発事故で放出される放射性物質量の推定などから、各号機から100キロの範囲内に住む者は、本件の原告適格を有する。

 ▽基準地震動

 規制委は基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)について、九電の申請内容を綿密に検討し、設置許可基準規則解釈に適合していることを確認した。科学的・技術的意見を募集し審査書を作成したことは、審査や判断が合理的であることを裏付けている。

 ▽火山リスクの評価

 規制委の審査基準「火山ガイド」は専門的知見を踏まえ合理的だ。九電は九州にある五つのカルデラについて、各原子炉施設の運用期間中の破局的噴火の発生は十分に小さいと評価し、規制委が妥当と判断した。現在の火山学の限界やマグマの状況把握の難しさから、正確な評価が困難な面があることを踏まえても、九電の評価、規制委の判断が不合理であるとはいえない。

 【運転差し止め】

 ▽主文と結論

 原告の請求を棄却する。各号機の運転で、原告の人格権が侵害される具体的危険性があると認めるには足りない。

 ▽基準地震動

 九電は新規制基準を踏まえ基準地震動を策定しており、規制委の審査、判断にも不合理な点はない。地震による損傷の防止という点で、安全性を欠くことはない。

 ▽配管の安全性

 九電は配管の健全性の確保を継続して行っており、規制委も基準に適合することを確認している。事故が発生して異常が検知されれば、原子炉を緊急停止し、非常用炉心冷却設備などが自動的に作動するよう設計されている。原発の潜在的な危険性が直ちに顕在化するとは認められない。

 ▽火山リスクの評価

 九電によるカルデラの破局的噴火の発生可能性評価は、詳細な文献調査、地形・地質調査の結果を踏まえており、調査に不足はない。五つのカルデラを個々に評価し、分析結果を総合的に評価し綿密だ。運用期間中の破局的噴火の発生を具体的かつ、合理的に指摘する専門的知見があると認めるに足りる証拠はない。(共同)

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