「ごめんね」っていうと「ごめんね」っていう。童謡詩人の金子みすゞさん(1903~30年)に「こだまでしょうか」という一編がある。東日本大震災が発生した10年前、公共広告でよく流れた◆金子みすゞ記念館の矢崎節夫館長は、この「こだま」することの大切さを説く。子どもが「痛い」と言って泣いている時、その理由を聞くだけでは涙は止まらない。理由を聞いた後、「痛かったろうね」と、こだますれば痛みが和らぐ。その上で、「泣くのを我慢しようね」と言えば、子どもはいつの間にか泣きやむ◆矢崎さんは「人は寂しいこと、悲しいこと、つらいことは半分くらいしか語らない。これ以上語ると自分がみじめになると思った時点で話をやめる」と言う。だから、話してくれたことの2倍、3倍の悲しみ、つらさを抱えているのではないかと、聞き手が気づいてあげることが大切、とも。相手を思うことで悲しみは半減し、喜びは倍加する◆きょう10日は、みすゞさんが26年の短い生涯を閉じた日。きのう3月9日は「サンキュー」の語呂合わせで「感謝の日」だった◆「ありがとう」っていうと「ありがとう」っていう。感謝の言葉もこだまする社会にしたい。人の憂いに寄り添う形が「優しさ」。こだますることで誰でもそうできるという、みすゞさんの願いにも聞こえる。(義)

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