値札のないスーパー「あまいろ商店」の発案者、古川光さん=2月、大分県別府市

 フードロス(食品廃棄)の解消と生活が苦しい人の支援を目指し、大分県別府市で大学生が値札のないスーパー「あまいろ商店」を開いている。農家などから余った食品を譲り受け、客が自分で価格を決めて持ち帰る。今は不定期の開催だが、常設店舗を目標にクラウドファンディングで運営資金を募る計画だ。

 十分に育たなかったポンカン、形が悪いトマト―。2月下旬、商店街の空き店舗に色とりどりの野菜や果物が並んだ。「通常なら捨てられてしまいますが、ジュースにするとおいしいですよ」。学生の説明に客は真剣な表情でうなずいていた。

 発案者で立命館アジア太平洋大(APU)3年の古川光さん(22)は佐賀市出身、龍谷高卒業。高校時代、農業を営む祖母を手伝ううちに、規格外の野菜が大量廃棄されることに気付いた。一方、テレビの番組では、その日の食事にも苦労する子どもの姿。「この矛盾をどうにか解決したい」と思った。

 大学入学後、学生の起業を支援する課外プログラムに参加し、海外の無料スーパーを参考に、県内外の農家に規格外の作物の提供を依頼。困窮者に食品を無償で配る活動は「フードバンク」が知られるが、周囲の目を気にして利用をためらう人もいると聞き、客が自分で値付けし購入できる仕組みにした。

 昨年11月にイベントを初開催し、2日間で計約260人が訪れた。古川さんは「誰でも気軽に来られ、身近なこととして問題を考えるきっかけになる場所にしたい」と常設店舗にこだわる。

 野菜を提供する大分県由布市の農家の男性(42)も「新型コロナウイルスで出荷が減っている。若い人の力になれるのはうれしい」と歓迎する。

 店の運営はAPUの学生ら約10人が手伝う。4月以降は毎週2、3日のペースで開く計画だ。(共同)

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