唐津市長選・市議選の投票所。一部の投票所では男女別に並ばせて受け付けをしていた=1月31日、唐津市内(意見の寄せられた投票所とは関係ありません)

 1月31日に投開票された佐賀県唐津市長・市議選で、一部の投票所が男女別に並ばせて受け付けを行い「LGBTなど性的少数者への配慮が足りないのでは」という意見が佐賀新聞「こちら さがS編集局」(こちさが)に寄せられた。県内の選挙管理委員会や学識者に話を聞き、実情を探った。

 「周囲に戸籍上の性別が分かり、きっと嫌な思いをする人もいるだろうと思った。選挙を実施する側は問題意識を持つべきだ」。意見を寄せた唐津市の男性はそう訴えた。男性が訪れた投票所では、受け付けの机に「男」「女」の張り紙があり、有権者が並ぶ必要があったという。

 唐津市選管によると、投票の受け付け方法は全市的に統一しておらず、各投票所に任せている。男女別に張り紙をして受け付けが行われていたことに関し「行き届かない部分だった。今後検討していきたい」と話した。

 県内市町は以前から、県選管に男女別の投票者数を報告しており、選挙時に各市町の選管が取りまとめている。男女別の集計は各投票所で行い、受付時に名簿や有権者が持参する入場券で確認している。

 全国的に性的少数者への配慮が進む中、入場券については性別欄を削除する動きがある。県内では16市町が数字や記号で職員だけが分かるようにし、基山町と大町町は性別欄そのものがない。多久、吉野ヶ里の2市町は男女の表記があり、吉野ヶ里町は数字への変更を検討している。

 なりすまし投票を防ぐため、受け付ける際は名前を読み上げて本人確認をする投票所が多いが、周囲にも分かるように男女を区別するケースは少ない。入場券を紛失したり、戸籍上の性別と見た目の性別が異なったりして確認が必要と判断した場合も、多くの市町が住所や生年月日など性別以外の項目で確認している。

 当事者は男女別の受け付けをどう受け止めるのか。佐賀大LGBT支援サークルCARASS(カラス)代表の健崎まひろさん(22)=活動名=は「地域の人の前で戸籍上の性別を宣言するようなもの。次の選挙は怖くて行けなくなると思うし、選挙権を間接的に阻害されている」と話した。

 少数者(マイノリティー)の人権に詳しい佐賀大教育学部の吉岡剛彦教授(法哲学)は「選挙を含めた事務処理で性別欄が本当に不可欠なのか、見直しを進めるべき」と指摘する。投票所での配慮について「名前にも性別が表れるため、読み上げに抵抗がある人もいる。周囲の人と距離を取り小声で行う、指さしで確認するなどの対応が普及してほしい」と述べた。(森田夏穂、横田千晶)

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