東日本大震災、福島第1原発事故の発生から3月11日で10年になる。2月13日夜に宮城、福島両県で最大震度6強を記録した地震が10年前の余震であったことに驚いたが、9日後、福島第1原発3号機に昨年取り付けられた2基の地震計が故障していたにもかかわらず修理などされず放置されていたことが明らかになり、さらに驚かされた。事故を起こした東京電力の危機管理の欠如や隠蔽(いんぺい)体質は今もなお改善されていないという印象を強く受けた。国民の信頼なくして原子力事業は成り立たない。東電の原子力事業者としての適格性を改めて問いたい。

 情報を国民に迅速、正確に、分かりやすく公開することは、電力会社としての責務である。しかしながら東電は、22日に開かれた原子力規制委員会の検討会会合で、委員らの質問を受けて初めて故障の事実を明かした。それまでの記者会見などでは一切説明していなかった。未曽有の事故の当事者であるのに、あまりにも無自覚すぎないか。

 地震計は3号機原子炉建屋の5階と1階の2カ所に設置していた。規制委が昨年3月、炉心溶融や水素爆発を起こした1~4号機のうち、劣化が進む3、4号機建屋への地震の影響を確認する重要性を指摘したことを受けた措置だった。東電の説明によると、昨年7月に1階の1台が大雨で水没し、10月には5階の計測データにノイズが入る故障が起きていたため、今回の地震の揺れのデータが記録できていない。故障の原因分析に時間を要し対応が遅れたなどと釈明し、試験的な設置だったので公表しなかったという。果たして国民は納得するだろうか。

 今回の不備について梶山弘志経産相は24日の会見で、原子炉建屋への地震の影響を丁寧に把握することは重要と指摘し「早急に復旧すべきだった。誠に遺憾である」と断じた。東電に対し対応の改善と地元への丁寧な説明、情報発信について不断の見直しをするように改めて指示している。ただ、この10年間は同じようなことが繰り返されてきたのではないか。

 今年1月には、柏崎刈羽原発(新潟県)の所員が昨年9月に同僚の所員のIDカードを使って中央制御室に不正入室した問題も発覚している。東電が国民からどのように注視されているかの意識が低いとしか言い様がない。

 同列には論じられないが、玄海原発を動かす九州電力も短期間に火災やトラブルが続いており、対岸の火事とせず、より一層の緊張感を持つ必要がある。

 大震災も、原発事故も、起きたのはほんの10年前である。今も避難したまま、故郷に帰ることができない人たちがいる。忘れることが、過ちを繰り返すリスクを高める。教訓を生かすために、私たちも忘却との闘いが続く。(辻村圭介)

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