新型コロナウイルスのワクチン接種で、政府が4月中の開始を目指す高齢者への優先接種に向け、佐賀県内の市町が準備を進めている。佐賀新聞社の28日までの聞き取りでは、20市町のうち17市町が個別接種と集団接種の併用を計画するなど、具体的な態勢を詰めているが、国からワクチンが届く時期や数量が見通せないため、スケジュールづくりに苦慮している。

 ワクチン接種は、かかりつけ医など身近な医療機関での個別接種と、保健センターなど特定の会場に集まって行う集団接種がある。鳥栖市、神埼郡吉野ヶ里町と、3月2日に方針を決める藤津郡太良町を除き、17市町は併用を予定する。

 鳥栖市は「かかりつけ医が接種することで、住民に安心してもらえる」と個別接種を基本にする。併用予定の市町の中には同じような理由で、三養基郡みやき町、東松浦郡玄海町、杵島郡大町町、江北町が個別接種を優先する考えを示す。

 吉野ヶ里町は町内の医療機関が限られているため、集団接種を計画している。1瓶当たりの接種回数が通常の注射器で5回とされる米ファイザー製のワクチンを効率よく使うなどの理由で、神埼市や小城市は集団接種を先行させる。

 集団接種に当たる医師や看護師の人員は、各自治体とも地元医師会や医療機関と協議し、多くの自治体でめどが立っていると説明している。会場は公共施設を使うところが多く、一部調整しているところもあるが、各市町ともほぼ確保できているとしている。

 会場への送迎は、各町の公民館と集団接種会場をバスで結ぶ多久市や、タクシーを一括予約する武雄市など6市町が実施を決め、10市町が「検討中」とした。佐賀市や小城市、太良町は現時点で予定していない。「同時に進める個別接種を希望する人が多いとみている」(佐賀市)、「集団接種の予約時間が隣近所でも異なることが予想され、同時刻に集まってもらうことが難しいため」(小城市)などと説明している。

 今後の課題については、全市町がワクチン供給量と日程が不透明なことを挙げる。国は4月5日の週に県内へ最大1170回分を配布、12、19日の週も約5千回分ずつ配送する計画だが、どの市町にいくつ配分するかなどはまだ決まっていない。市町からは「協力してもらう医師のスケジュールが組めない」「住民への広報のタイミングが難しい」という声が上がる。

 4月26日の週に全国の市町村に一律500回分が届く予定で「接種が始まるのは大型連休明けになるかも」と話す担当者もいる。

 国の通達でワクチンを運ぶ保冷バッグが必要になるが、「全国の市町村が一斉に注文しており、手に入りにくい状況」と危惧する声もある。ワクチンは慎重に輸送する必要があるため、離島がある唐津市は、厚生労働省に許容できる揺れの大きさの確認を進めている。集団接種の時間短縮や「3密」回避のため、予診票の記入を自宅でしてもらうことが必要という指摘もあった。(石黒孝)

このエントリーをはてなブックマークに追加