1月は行く、2月は逃げる、3月は去る―。年度最後の四半期は過ぎるのが本当に早い。2月がきょうで終わり、あすから3月。あす1日は県内の多くの高校で卒業式が予定され、巣立ちの季節を迎える◆厳かな雰囲気の卒業式は、在校生の立場でも緊張する。しかも、長いあいさつが続き、小学生の頃はつらかった。難しい言葉が多く、中身も似通う。来賓の方々には申し訳ないが、ほとんど覚えていない◆原田マハさんの小説『本日は、お日柄もよく』に、スピーチの極意が出てくる。「スピーチの目指すところを明確にする」「エピソード、具体例を盛り込んだ原稿を作り、全文暗記する」など10箇条。実践は難しく、上手に話せる人がうらやましい◆言葉はいい意味でも悪い意味でも「武器」になる。歴史を振り返っても、世の中を変えるような名スピーチは多い。言葉は人を勇気づけ導く力を備える一方、誤解を生み、傷つけてしまう怖さを持つ。結局、その人のことをどれだけ思って言葉を選ぶかで、スピーチの価値は決まるのだろう◆小学時代、その早さで記憶に残った来賓あいさつが一つある。その人は「私は短く済ませます」といい、10秒ほどで終わらせた。卒業生に贈る言葉として拝借する。「いつの時代でも、どんな時代でも、自分を信じ、強く強く生きてください。以上!」(義)

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