2019年2月に閉店したイオン上峰店周辺の中心市街地。再開発に町民の関心が高まっている=三養基郡上峰町坊所

 任期満了に伴う三養基郡上峰町長選が3月9日告示、14日投開票の日程で実施される。地域経済をけん引してきたイオン上峰店が2019年2月に閉店して丸2年になる中、中心市街地の再開発への町民の関心が高まる。交通弱者対策を含め、現状と課題を見つめた。

 「最も大変なのは日用品の買い物。キャッシュコーナーがなくなったのも不便だね」。イオン上峰店跡地に歩いていける団地に住む日高末雄さん(76)は閉店後の生活の変化を話す。買い物は、離れたところにあるスーパーなどに車で行くようになったが「もっと年を取って乗れなくなったらどうすればいいのか」と不安は尽きない。毎日のようにイオンを訪れていた妻も外出の機会が減ったといい、「新しい施設が早くできて、前のようににぎわいが戻ればいいが」。

 中心市街地活性化事業は、事業を官民連携で請け負うLABV方式の合同会社「つばきまちづくりプロジェクト」の設立直前まで進んでいる。町は着実に進ちょくしていると強調するが、閉店直後に「再開発施設は最速で2021年夏オープンを目指したい」との見通しを示していたこともあり、町民からは「遅れているのではないか」と不安視する声が漏れる。

 老朽化が進んでいる町体育館や町武道場などの施設を、町教育委員会などの要望を受けて再開発計画に盛り込んだことが遅れの大きな要因とされる。計画変更に伴い、民間の資金やノウハウを活用するPFI方式からLABV方式に変更したことも影響した。

 町は節目に進ちょく状況を公表しているが、町議の一人は「いつ何ができるのか説明がない。町民から聞かれても答えようがない」と指摘する。再開発施設は合同会社が計画するため、どういう施設ができるのか具体的なイメージが乏しいことも、町民が説明不足と感じる一因になっている。

 再開発とともに課題になっているのは、高齢者をはじめとした交通弱者対策。町は日常の「足」を確保するとしてコミュニティーバスやデマンドタクシーを運行し、このうちデマンドタクシーの利用者は多い。一方、公共交通機関で町外に出るためには路線バスしかなく、町民からは「JRの駅にコミュニティーバスを通してほしい」との声も聞かれる。このため町は、駅がある近隣自治体と実現に向けて協議を重ねている。

 ふるさと納税は2019年度に46億7214万円を集めるなど町財政を支えている。独自の地域通貨「ミネカ」の事業費として活用されるなど、町民への還元も行われているが、別の町議は「豊かになっている実感が町民に届いてない」と指摘する。町長の武広勇平氏(41)=3期、堤=は「基金もかなり増えており、新規サービスにもつなげていきたい」と話す。

 町長選は武広氏と、新人で前町総務課長の三好浩之氏(55)=堤=による選挙戦になる公算だ。

 県内の多くの自治体が人口減少に悩む中、上峰町は微増傾向にあり、1月末現在で9689人になった。中心市街地の再開発や交通関係の施策をどう描き、一層の定住促進につなげるか、選挙戦での主張が注目される。(瀬戸健太郎)

このエントリーをはてなブックマークに追加